2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791367
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 竜介 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 助教 (60380705)
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Keywords | 味細胞 / 活動電位 / 味覚受容体 / 細胞型 / シナプス / 遣伝子発現 / 遺伝子改変マウス / 細胞内情報伝達機構 |
Research Abstract |
本研究では、味細胞の各種味刺激に対する応答性や味覚抑制物質の効果などを詳細に追及し、味覚情報が味細胞レベルでどのように分別されているのかを明らかにする。また、応答記録細胞の発現遺伝子解析や細胞型が容易に特定できる遺伝子改変マウスを利用し、各応答特性に関与する味覚受容の分子機構や、応答特性と細胞型との関連を明らかにする。これらから、味のニューラルコーディングチャネルにおける味細胞の役割(味覚情報の収集と伝達、およびそのメカニズム)を究明することを目的とする。本年度は塩味およびうま味応答味細胞の解析を行った。(1)塩味感受性細胞は味神経線維と同様にアミロライド感受性により2群に分類され、アミロライド感受性(AS)細胞はNaCl特異的に、非感受性(AI)細胞は他の電解質にも幅広く応答し、それぞれ塩味感受性神経線維の応答特性に近似していた。また、シングルセルRT-PCR法によりAS細胞はENaCサブユニットを有し、これがAS細胞のNaCl受容に関与することが示唆された。さらにAI細胞の一部はシナプスを有するIII型細胞マーカーであるGAD67を有し、AI細胞の一部はIII型細胞であることが示唆された。(2)うま味感受性細胞は甘味に強く応答するS型、グルタミン酸に強く応答するM型に大別され、それぞれはIMP添加による相乗効果の有無により更に2群に分類された。味神経線維にも同様の応答特性を示す繊維が存在することから、これらの細胞がそれぞれに対応した味神経線維に情報を伝達しているのではないかと考えられる。また、M型味細胞の応答はmGluR阻害剤であるAIDAおよびCPPGにより一部阻害されたことから、M型味細胞のうま味受容にはmGluRが関与する可能性が示唆された。以上の結果から、味覚情報は味細胞レベルで詳細に分別され、その情報は各味神経線維に選択的に伝達される可能性が示唆された。
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