2007 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光分子センサーを用いた培養耳下腺細胞のイノシトール三リン酸のリアルタイム測定
Project/Area Number |
19791369
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
根津 顕弘 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 講師 (00305913)
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Keywords | イノシトール三リン酸 / 耳下腺腺房細胞 / 細胞内カルシウム濃度 / 初代培養 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本研究は、耳下腺腺房細胞における受容体刺激による細胞内イノシトール三リン酸(IP_3)濃度の時問・空間的変化をリアルタイムで測定することを目的とする。我々の開発したIP_3バイオセンサー"LIBRA"を耳下腺腺房細胞に導入するには、細胞機能を保持した培養腺房細胞を調製する必要がある。平成19年度は、細胞機能および形態を保持した培養腺房細胞の調製方法を開発するとともに、培養腺房細胞へのLIBRA発現ベクターの導入方法について検討を行った。 ラットから耳下腺を摘出し、コラゲナーゼなどの酵素処理によって単離腺房細胞を調製した。単離腺房細胞は、細胞培養用培地あるいはHanks緩衝液中で6〜24時間培養した。得られた培養腺房細胞を光学顕微鏡で観察したところ、腺房細胞に特徴的なぶどうの房状の形態と細胞内に分泌顆粒が観察された。 培養腺房細胞がアゴニスト刺激に対する反応性を保持しているか否か確かめるため、調製した細胞にCa^<2+>蛍光指示薬fura-2を導入し、アゴニスト刺激による細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)変化を測定した。培養腺房細胞をカルバコールで刺激したところ、有意な[Ca^<2+>]iの上昇が観察された。しかし、反応する細胞数は酵素処理直後の細胞群と比べ約50%程度であった。細胞調整法および培養条件は現在も検討中である。 培養腺房細胞にLIBRAなど蛍光タンパク質を付加した目的分子を発現させるため、遺伝子導入法について検討を行った。リポフェクション法によって小胞体局在シグナルを付加した蛍光タンパク質の導入を試みたところ、発現遺伝子導入24時間後の細胞で、小胞体に局在するGFP蛍光が観察された。しかし、その導入効率は5%未満と極めて低かった。今後マイクロインジェクション法や昆虫由来のバキュロウイルス等を使ったシステムを用いて、より導入効率の高い方法を検討する予定である。
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