2007 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞のシステインリッチペプチドSCRG1はインテグリンシグナルを制御する
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19791370
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
帖佐 直幸 Iwate Medical University, 歯学部, 助教 (80326694)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 細胞外マトリックス / SCRG1 / コラーゲン / インテグリン / FAK / リン酸化 / 分化 |
Research Abstract |
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)が分泌する機能未知のシステインリッチペプチドSCRG1はコラーゲン、インテグリン、ラミニン等とコンプレックスを形成するLAD1と結合する。この事実はSCRG1が細胞-細胞外マトリックス(ECM)相互作用に関与している可能性を示唆している。本研究では「SCRG1はLAD1と結合することによりインテグリンシグナルを制御する」という仮説をたて、平成19年度はhMSCのSCRG1をsiRNAでノックダウンした系(siSCRG1-MSC)を確立し、SCRG1の機能を検討した。最初にDNAマイクロアレイで遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果、siSCRG1-MSCでは骨分化マーカー遺伝子であるアルカリフォスファターゼの発現量が増加した。また、ECMと相互作用するインテグリンα7は3倍以上に増加したものの、インテグリンα6は2倍以下に減少した。さらに各種ECMコートディッシュへの細胞接着能を調べた結果、siSCRG1-MSCの接着能は対照群と比較して有意に低下した。細胞がインテグリンを介して細胞外マトリックスに結合すると、FAKの自己リン酸化がおこる。FAKリン酸化シグナルはMAPK、Akt、Rhoなどのチロシンリン酸化カスケードに分岐しており、それぞれ細胞増殖、生存維持、細胞骨格系の制御に関与する。そこで、siSCRG1-MSCをタイプIコラーゲンコートディッシュに播種しFAKのリン酸化反応を検出した。その結果、siSCRG1-MSCでは播種後24時間以内にリン酸化FAKの有意な上昇が認められた。これらの結果からSCRG1はhMSCが産生・細胞外へと分泌し、細胞-ECM相互作用を介してhMSCの分化に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)