2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌細胞におけるインターフェロン耐性の分子機構の解明
Project/Area Number |
19791371
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
関根 圭輔 Meikai University, 歯学部, 助教 (00323569)
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Keywords | インターフェロンγ / 口腔癌細胞 / 細胞増殖 / Cell cvcle |
Research Abstract |
本研究課題について昨年度までにHSC-2細胞においてIFNγによりCyclin A2、Cdk2以外にもCdk1、Cdk4の発現が抑制されることを見出した。 複数の細胞周期関連遺伝子の発現がIFNγにより抑制されることが明らかとなったことから、本年度はこれら細胞周期関連遺伝子を個別に発現抑制しているのではなく、これら遺伝子の上流に位置する細胞周期制御のマスターレギュレーターがIFNγにより調節されている可能性を考えp53およびRBについて検討した。p53は口腔扁平上皮癌において高頻度に変異が見られることが知られており、HSC-2、Ca9-22においてもp53の変異が知られている。Ca9-22でのp53の変異は優勢抑制型変異でありタンパク質が分解されず過剰に存在していた。一方、HSC-2では変異によりタンパク質レベルで検出できなかった。 そこで、Ca9-22型p53をレンチウイルスを用いてHSC-2細胞に発現するとCa9-22型p53はHSC-2細胞においても安定で過剰に発現が見られた。この過剰発現細胞にIFNγ処理すると、野生型HSC-2細胞と同様にCyclinA2, Cdk2の発現抑制が見られた。次にRBについて検討するとHSC-2ではIFNγによりRbの活性化状態であるリン酸化抑制状態になることが明らかとなり、一方Ca9-22ではこのようなリン酸化抑制は見られなかった。そこでこのようなIFNγにより活性化されたRBが実際に細胞周期関連遺伝子の発現に関与するか調べるためSV401arge T抗原のRB結合部位(T-rb)をレンチウイルスにより発現し、RBの作用を阻害した。するとT-rb発現HSC-2ではIFNγによるCyclinA2, Cdk2等の発現抑制が解除された。以上、本研究課題によりCa9-22型変異p53の優勢抑制作用がCa9-22におけるIFNγ抵抗性の原因ではないことが初めて明らにし、IFNγはRBを活性化(リン酸化抑制)することで複数の細胞周期関連遺伝子の発現を抑制することが明らかとなった。またCa9-22でのIFNγ抵抗性はIFNγのRB活性化(リン酸化抑制)に何らかの異常があるためであることが明らかになった。
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