2007 Fiscal Year Annual Research Report
新生マウス脳幹-脊髄摘出標本を用いた吸啜リズム神経回路網の解析
Project/Area Number |
19791373
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中山 希世美 Showa University, 歯学部, 助教 (00433798)
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Keywords | 吸啜運動 / 脳幹-脊髄摘出標本 / 三叉神経 / マウス |
Research Abstract |
吸啜リズムを形成する神経回路網は脳幹内に存在すると考えられているが、その詳細については明らかにされていない。本研究では、吸啜運動のリズムの形成にはどのような神経メカニズムが関与しているのかを明らかにするために、吸啜運動を安定して誘発できるマウスの脳幹-脊髄摘出標本を開発することを試みた。生後0から1日齢のICRマウスで脳幹-脊髄摘出標本を作成、人工脳脊髄液灌流下に保持し、購入した高感度増幅器を用いて、三叉神経神経根から複合活動電位を記録した。上丘吻側から第7頸髄までを含む摘出標本において、二つの方法によってリズミックな神経発射を誘発することが出来た。一つは、三叉神経根に電気刺激を行うことである。片側の二叉神経に電気刺激を与えたところ、9例中7例で反対側の三叉神経からリズミックな神経発射が、刺激終了後数分間(0.8-2.8min)にわたって観察された。刺激強度を上げることにより、神経発射の発射頻度は上昇した。もう一つは灌流液中のMg^<2+>イオン濃度を減少させることである。通常、灌流液は1.0 mMのMg^<2+>イオンを含むが、これを0.2 mMにすることにより、13.4±3.8s間隔で神経発射が出現した。また、灌流液中のMg^<2+>イオンを全て除去した場合には、7.6±3.1s間隔でリズミックな神経発射が観察できた。同じ条件の電気刺激もしくはMg^<2+>イオンの除去を、半側の顎顔面組織を残した摘出標本に対して行ったところ、同頻度の口の開閉運動が見られた。このことから、三叉神経で観察された神経発射が、リズミックな顎運動を誘発することが示唆される。この実験モデルを用いて、リズムを形成する神経回路網を構成する要素を解析することにより幼若期の顎運動を制御する神経機構が明らかになることが期待される。
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