2008 Fiscal Year Annual Research Report
新生マウス脳幹ー脊髄摘出標本を用いた吸啜リズム神経回路網の解析
Project/Area Number |
19791373
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中山 希世美 Showa University, 歯学部, 助教 (00433798)
|
Keywords | 摘出脳幹-脊髄標本 / 吸啜 / 三叉神経 / マウス |
Research Abstract |
本研究では、吸啜リズムを形成する神経回路網についての研究を行うため、吸啜運動のリズムを新生マウスの脳幹-脊髄摘出標本で誘発することを試みた。実験には生後0-2日齢のICRマウスを用いた。ジエチルエーテルで深麻酔後断頭し、酸素を飽和させた氷冷人工脳脊髄液中で中脳下丘から第7頸髄までを摘出した。摘出した標本は、記録用チャンバーに移し、酸素を飽和させた室温(25-27℃)の人工脳脊髄液を灌流した。吸啜運動は口唇への触刺激によって誘発されることから、三叉神経を通る感覚神経の電気刺激により吸啜様リズムを誘発出来るかを検討した。 片側の三叉神経に、持続時間10msec,10Hz,100回の電気刺激を与えたところ、刺激終了の数十秒後から、反対側の三叉神経にリズミックな神経発射が観察された。刺激強度を上げることにより、神経発射の発射頻度は上昇した。半側の顎顔面組織を残した脳幹-脊髄摘出標本において、顎顔面組織の反対側の三叉神経を電気刺激(10msec,10Hz,100回,10V)すると、刺激終了後に、リズミックな口の開閉運動が見られた。この開閉口運動の頻度は、顎顔面組織のない標本で、三叉神経から記録されたリズミックな神経発射と、同程度の頻度だった。刺激により誘発された開閉口運動では、上顎はほとんど動かず、下顎が動いて開閉口していた。さらに、通常の脳幹-脊髄摘出標本で、三叉神経を刺激用の感覚根と記録用の運動根に分け、左右のリズムの関係を観察した。片側三叉神経感覚根の刺激により誘発されるリズミックな神経発射は、左右の三叉神経運動根で同期していた。 本研究により、新生マウスの脳幹-脊髄摘出標本において、三叉神経感覚根の電気刺激によって安定した吸啜様リズムを繰り返し誘発することが可能となった。この実験系を利用することにより、吸啜リズムを形成する脳幹内の神経回路網についての研究が進展することが期待される。
|
Research Products
(3 results)