2007 Fiscal Year Annual Research Report
拡散強調係数(ADC)を決定する細胞組織学的因子の同定
Project/Area Number |
19791381
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
榮田 智 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80325662)
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Keywords | 拡散強調係数 / 細胞組織学的因子 / MRI |
Research Abstract |
拡散強調MRイメージングは非侵襲的に組織内の自由水プロトンのブラウン運動をイメージングする手法であり、得られるみかけの拡散係数(ADC値)は水分子の動き易さにより決定される。病変間のADCの違いは、組織レベルでは、病変内部の細胞密度、細胞外マトリックスの割合、粘稠度、出血、腫瘍細胞周囲の血管(微小循環)、necrosis、結合組織の存在などが関与するといわれている。一方、細胞レベルでは、核と細胞質の割合、細胞性浮腫との関係、あるいは温度などによりADC値は影響を受けると考えられているが、今だにその十分な証拠を得るまでには至っていない。 そこで今回の研究では、個別の要因をin vitro環境に設置し、どのような因子がADC値に影響を与えるのかを検討した。 MR装置はGyroscan Intera 1.5T Master (Philips Medical Systems)で、高解像度撮像が可能な23-mm径のMRマイクロスコピーコイルを使用し撮像を行った。in vitro環境のため毛細血管などの局所の灌流のようなperfusion factorは考慮する必要は無いが、周囲磁場の均一性向上のため、b-factorは0、333、667、1000s/mm^2を用いた。その結果、横軸にb-factor、縦軸に信号強度の対数をとり各々の点をプロットすると一直線を示していた。つまり周囲磁場の影響を受けやすいADCマップの作成にあたっても高いsignal intensity ratioが実現し、細胞の微細な描出が可能であることが確認できた。この実験系を使って、平成19年度は種々の因子がADC値に与える影響について検討した。すでに、正常耳下腺、顎下腺、舌下腺の構成細胞の違いによりADC値に有意差がみられること(AJNR 28,116-121,2007)を明らかにしている。平成20年度にはさらに検討を重ね、得られたデータの妥当性、矛盾点あるいは改善点についての評価を行う。以上の結果をもとにADCを決定する細胞組織学的因子の同定を行う予定である。
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Research Products
(1 results)