2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌特異的なエンドセリン阻害剤を用いた口腔癌の分子標的療法の開発
Project/Area Number |
19791387
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今井 優樹 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 講師 (30440936)
|
Keywords | 口腔癌 / エンドセリン |
Research Abstract |
エンドセリン受容体阻害ペプチドの口腔癌に対する効果を調べるため、まず、in vitroの系でエンドセリン阻害ペプチドの口腔癌細胞の増殖阻害能を調べた。口腔癌細胞HSC4にエンドセリンA受容体の阻害ペプチドETA-P1/f1を加え、HSC4細胞の増殖を抑制することが出来るかどうかをcell counting kit 8で測定したところ阻害活性を示さなかった。同様に乳カン細胞SKBR3, MCF7細胞にエンドセリンA受容体の阻害ペプチドETA-P1/flを加えたところ、60-770%の増殖抑制がみられた。このことより、口腔癌の増殖においてエンドセリンA受容体の機能は車要でない可能性が示唆された。エンドセリンB受容体に対する阻害ペプチドはまだ報告されていないので、新たにエンドセリンB受容体の阻害ペプチドの作成が必要となった。そのための新たな阻害ペブチド検索プログラム「MIMETIC」を作成した。一方、口腔癌特異的な抗原(MUC1)に対する特異抗体C595の単独での作用を調べるため、補体依存性細胞障害反応、抗体依存性細胞障害反応および細胞増殖抑制能の測定を行った。C595は抗体依存性細胞障害反応と補体依存性細胞障害反応を口腔癌細胞上のMUC1発現量依存的に誘導し、MUC1高発現口腔癌細胞HSC4においてC595による抗体依存性細胞障害は約30%、補体依存性細胞障害は約20%であった。C595抗体単独では細胞増殖抑制には影響がなかった。補体依存性細胞障害が予想された数値より低かったことから補体膜制御因子の発現を調べたところ、CD46、CD55、CD59のすべての補体膜制御因子の発現が確認され、特にCD59の発現は高かった。従って、MUC1特異的モノクローナル抗体は口腔癌の標的化には有効だが、抗体単独での抗体免疫療法では有効性が見られないことが明らかになった。
|