2008 Fiscal Year Annual Research Report
デンタルユニット給水系バイオフィルムの実験モデルの確立と関連遺伝子の解析
Project/Area Number |
19791396
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藪根 敏晃 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (90423144)
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Keywords | デンタルユニット / バイオフィルム / in vitroモデル / 給水系 / 従属栄養菌 / Polyvinylidene fluoride |
Research Abstract |
本研究課題は近年、重大な問題になっているデンタルユニット給水系の汚染に関して、その原因と考えられている給水チューブ内面に形域されたバイオフィルムrについて形成メカニズムを明らかにし、有効な汚染防止対策を検討することである。平成19年度の研究成果により、これらのバイオフィルムは主に3種の従属栄養菌から形成されており、これらの細菌を96時間の培養を行うことによって臨床像に類似したバイオフィルムを再現できることが明らかとなり、in vitroバイオフィルムモデルを確立することに成功した。そこでin vitroモデルを用いて、polyvinylidene fluoride(PVDF)チューブのバイオフィルム形成防止効果を検討した。その結果、96時間培養後の走査型電子顕微鏡観察において、桿菌の付着を認めるものの、バイオフィルム形成は認められず、PVDFチューブが汚染防止対策に有効であることが示唆された。さらに、バイオフィルム形成に関与する遺伝子の解析を行った。glycosyltansferase(gtf)は菌体外多糖の形成に関与する遺伝子として知られている。そこで同定された細菌について、塩基配列をもとにプライマーを作成し、gtfの有無を調べた。その結果、gtfは認められず、デンタルユニット給水系バイオフィルムへのgtfの関与は明らかとはならなかった。しかしながら、in vitroバイオフィルムモデルにより汚染防止対策に有効と考えられるチューブ素材を検討することができ、本研究により得られた知見はデンタルコニット給水系の汚染防止対策の開発を推進するものと考えられる。
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