2008 Fiscal Year Annual Research Report
Er:YAGレーザー齲蝕治療歯に対する接着システムの開発
Project/Area Number |
19791399
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大前 正範 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10403487)
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Keywords | レーザー / 象牙質 / 接着 / XPS / 元素 / 結合エネルギー |
Research Abstract |
【平成20年度研究内容】 本研究の目的はう蝕影響象象牙質に対するコンポジットレジンの接着性を明らかにすること、Er : YAGレーザーを照射したう蝕影響象牙質に対し有効な接着性示す象牙質システムを考案することおよびEr : YAGレーザー照射が象牙質に与える影響を分析することである。平成20年度はEr : YAGレーザーを照射したう蝕影響の接着強さと、う蝕の影響のない健全な象牙質との接着強さについて検討を行った。その結果、Er : YAGレーザーを照射した蝕影響象牙質は従来の回転切削器具と同等のコンポジットレジン接着強さを示すが、う蝕の影響のない健全な象牙質に比べるとかなり低い接着強さを示すことが明らかとなった。また、健全な象牙質はEr : YAGレーザーを照射すると接着強さが低下し、申請者が発見したグルタルアルデヒド法を用いれば接着強さは回復することが明らかなっている。しかしながら、このグルタルアルデヒド法はう蝕影響象牙質には有効でないことが本実験で確認された。 グルタルアルデヒド法はEr : YAGレーザーにより低下したコンポジットレジンの接着性を改善する唯一の方法であるが、う蝕影響象牙質に対しては有効でないことが本実験で明らかとなった。 一方で、Er : YAGレーザー照射象牙質の主要構成元素の分析をESCAにて行った。元素解析の結果、Er : YAGレーザー照射象牙質の主要構成元棄であるCa、P、Nの結合エネルギーが高エネルギー側ヘシフトしていることが明らかとなった。また、Cのピークは大きく変化することが確認された。さらに、Er : YAGレーザー照射象牙質のCa/P比は非照射象牙質に比べ有意に低下することが明らかとなった。これはEr : YAGレーザー照射により、主要元素の結晶構造が変化していることと、Caが喪失したことを示している。Er : YAGレーザーは組織為害性が少なく安全医療用レーザーであるが、象牙質の主要元素はEr : YAGレーザーにより影響を受けることが示さされた。
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