2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791405
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
林 誠司 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (10285249)
|
Keywords | 統合失調症ラットモデル / うつ病ラットモデル / 精神疾患 / 根尖性歯周炎 / 神経ペプチド / カルシトニン遺伝子関連ペプチド |
Research Abstract |
(目的)歯科領域における疼痛科学と精神疾患との関係を精査するために,根管治療後の難治性疼痛に対して精神医学的に臨床応用への可能性を検討した。(方法)ネンブタール50mg/kg i.p.を用いた全身麻酔下,ラット下顎片側第1大臼歯の歯髄組織を露髄,1×10^7CFU/mlのP.gingivalisおよびP.intermediaに感染させ,4週間放置,根尖性歯周炎を発症させる。「うつ病」モデルは,拘束器具を用い拘束ストレス1日1回2時間15日間を与え続け,慢性変動ストレスラットモデルを作製する。「統合失調症」モデルは,NMDA(Nメチル-D-アスパラギン酸)型興奮性アミノ酸受容体遮断薬であるフェンサイクリジン(PCP)を投与(5mg/kgs.c.)したNMDA受容体拮抗薬ラットモデルを作製する。次に,安楽死後,脳の半分をホルマリン固定後HE染色,残り半分の脳組織に対して,ニューロンの刺激応答性に関してc-fos,神経ペプチドであるsubstance P,カルシトニン遺伝子関連ペプチドCGRP発現をRT-PCR法で検討を加えた。(結果)RT-PCR法では,根尖性歯周炎を発症した慢性変動ストレスラットモデルおよびNMDA受容体拮抗薬ラットモデルは,コントロールである正常ラットおよび根尖性歯周炎を発症したラットと比較して,c-fos,substance P,CGRP遺伝子発現にほとんど差を認めなかった。次にHE染色では,露髄させたラットの下顎片側第1大臼歯根尖部分に炎症性細胞浸潤を伴う根尖性歯周炎が観察された。しかしながら,この根尖性歯周炎を発症した慢性変動ストレスラットモデルおよびNMDA受容体拮抗薬ラットモデルともに,三叉神経脊髄路核では,コントロールである正常ラットおよび根尖性歯周炎を発症したラットと比較して,炎症性細胞浸潤や神経細胞の変性などの所見はみられなかった。
|