Research Abstract |
歯髄炎の治療には一般に抜髄が行われるが,歯髄は歯を維持するための重要な機能を有し,抜髄は結果として歯を失う危険性もある。したがって,私どもは歯髄幹細胞を用いて,抜髄に代わる,新しい歯髄再生治療法を開発している。歯髄の再生には血管の新生が不可欠である。今回私どもは,容易に大量に得られる他の組織からの細胞を歯髄再生に応用するため,血管誘導に優れ,歯髄再生に有効な歯髄由来のCD31^-;CD146^-SP細胞を他の組織のものと比較し,歯髄特異性を検討した。 本年度は,まずブタ歯髄,大動脈,脂肪,骨髄組織由来細胞をそれぞれHoechst33342およびCD31およびCD146抗体でラベルしてフローサイトメトリーにてCD31^-;CD146^-SP細胞を分取した。この細胞を継代培養した後,これらの細胞の性状をフローサイトメトリーにて解析したところ,歯髄CD31^-;CD146^-SP細胞はCD34^+が70%,VEGFR2^+が90%含まれていたが,大動脈,脂肪,骨髄組織由来CD31^-;CD146^-SP細胞はCD34^+が30-45%,VEGFR2^+が15-40%であった。またこれらの細胞をマトリジェル上で培養し,VEGFを添加して管腔形成能を検索したところ,歯髄由来CD31^-;CD146^-SP細胞は管腔を形成したが,大動脈,脂肪,骨髄組織由来CD31^-;CD146^-SP細胞は歯髄ほど明確な管腔を形成しなかった。現在,下肢虚血マウスに移植して,in vivoにおけるこれらの細胞の血管新生能の比較を行っている。
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