2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791424
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水戸 祐子 Tohoku University, 病院, 医員 (00431586)
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Keywords | 咀嚼 / 口腔感覚 / 消化 / 自律神経 / 胃運動 |
Research Abstract |
咀嚼は食物を細分して表面積を拡大し唾液と混和し消化をたすけるほかに、咀嚼動作に伴って生じる口腔感覚が、迷走神経を介して消化管運動に関与することが知られているがその詳細は不明な点が多い。本研究では咀嚼が消化吸収に要する時間や消化器の機能負担に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。本年度は消化吸収性に優れた介護食を試験食に用いて、若年成人を対象に咀嚼条件の相違が胃電図による胃の電気的活動と消化吸収の所要時間を反映する胃排出速度に及ぼす影響を検討した。 健常成人男性9名に同一試験食を摂取させ、摂取前から摂取4時間後まで、胃電図の記録と呼気試験法による胃排出速度の測定を同時に行った。咀嚼条件は1)精咀嚼、2)丸飲み、3)10分間のガム咀嚼後、試験食を丸飲み、の3条件とした。試験食は市販の介護食3種を組み合わせた396kcalの軽食で、主食にはおかゆに呼気試験用標識薬剤と卵を加えた卵粥を用いた。その結果、胃排出速度の評価パラメータには咀嚼条件間で有意差を認めなかった。一方、胃電図正常波(2.4〜3.6cpm)の累積パワー値は、精咀嚼に比べ他条件では小さい傾向を示した。また、ガム咀嚼を加えない丸飲み条件2)では食後135分以降、正常波と比較して徐波(1.0〜2.4cpm)の累積パワー値が有意(p<0.05)に増加した。 摂食が容易で消化されやすい介護食を用いた今検討では、咀嚼条件の胃排出への影響は認めなかったが、咀嚼動作の減少が胃の電気的活動に影響を及ぼすことが観察された。
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