Research Abstract |
インプラント治療は現在,歯科における欠損部位に対する有効な治療法として広く認められ,患者にとって多大な利益をもたらしてきている.また,治療そのものの成否を左右する,オッセオインテグレーションの獲得においても,すでに100%近い成功率を収めている.こうした背景の中,近年ではその医療理念に適う,さらなる患者のQOLの向上へと,目が向けられている.通常の,つまり,conventionalなインプラント治療においては,インプラント体の埋入から最終補綴物の装着に至るまでの,期間の長さが最大のネックとなっているが,そこで最近注目を浴びているのが,即時荷重・早期荷重である.この手法では,その期間を飛躍的に短縮することが可能である一方,生物学的なエビデンスは得られていないまま,臨床経験主導のもと進められ,長期予後も未だ明らかではない.そこで,即時荷重・早期荷重下のインプラント体周囲における骨代謝の状況を骨シンチグラフィを用いて検討する.まず,即時荷重・早期荷重下のインプラント周囲骨代謝の評価の前に,オッセオインテグレーション獲得後に荷重を加えるconventionalな方法でのインプラント周囲骨代謝の変化について整理・評価した.これらから,今回用いたラットの脛骨モデルでは,オッセオインテグレーション獲得までにおよそ4週間かかること,また,その結果は組織学的に評価した先の文献とほぼ一致し,骨シンチグラフィによる評価の有用性が示された.さらに,その後荷重を加えたモデルでは,荷重量・荷重期間によって骨代謝の変化の様相が異なった.今現在は即時荷重・早期荷重時の骨代謝活性の変化データを収集・分析中であり,conventionalなモデルのデータを基準とし,即時荷重・早期荷重を加えたものと比較検討し,オッセオインテグレーション獲得に与える影響についてさらに探っていく予定である.
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