2008 Fiscal Year Annual Research Report
CTデータを元にした三次元造形法による顔面補綴への応用に関する研究
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19791427
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 明子 The University of Tokyo, 保健センター, 講師 (10345225)
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Keywords | CTデータ / エピテーゼ / 顎顔面補綴 / 三次元造形 / 顔面欠損 |
Research Abstract |
腫瘍切除後などに生じた顔面欠損に対して外科的再建が行われない場合、特に眼球が含まれる場合は顔面補綴が選択される。顔面補綴は、その製作に関してさまざまな問題が挙げられてきた。周囲組織との移行性、適合、自然観が重要であり、義眼の最適な位置決定など、ワックスアップの際に熟練を要する。顔面印象による変形や患者の苦痛も問題となっている。近年、コンピュータ技術の進歩により、顔面補綴の製作に関しても三次元形状計測や三次元造形を用いた方法が報告されるようになってきた。今回、我々はCTデータをもとに、顔面形態を構築し、顔面印象を行わずに顔面補綴を製作する方法を開発することにした。 H19年度にCTデータと顔写真から、MimicsとMagicsを用いて顔面欠損模型とエピテーゼパターンの3Dデータを作成し、義眼の位置をCT上の眼球の位置から決定する方法を確立した。粉末固着積層法により三次元造形装置で立体モデルとエピテーゼ用の鋳型を造形し、顔面印象を行わずに三次元造形により得られた石膏モデル上でエピテーゼパターンの彫刻を簡単に行うことが可能となった。 H20年度は1名の上顎腫瘍患者の、再発による腫瘍切除後のシミュレーションを目的としてインフォームド・コンセントで同意が得られた。経過観察のために過去に撮影したCTデータと顔写真をもとにして、予想される顔面欠損モデルをコンピュータ上で作成し、顔面補綴を製作した。MimicsとMagicsを用いて顔面欠損模型とエピテーゼパターンの3Dデータを作成した。義眼の位置をCT上の眼球の位置から決定した。粉末固着積層法により三次元造形装置で立体モデルとエピテーゼ用の鋳型を造形し、エピテーゼを製作した。 さらに、鋳型を造形することなく、三次元造形装置をもちいて直接パターンを造形する方法も考察した。材料として、工業用ワックスおよびゴムライク(でんぷんベース、エラストマー含浸)を選択した。直接造形することでエピテーゼパターンを1ステップで得ることができたが、鋳型を使用し、従来のワックスを使用してパターンを作製したものよりも、1パターンの適合が悪く、形態修正に時間がかかった。修正後のパターンは容易に埋没・流蝋が可能であった。実用化するためには、三次元データの段階で、コンピュータによる形態修正を行う必要性が示唆された。材料についてはさらに検討する必要があると思われた。
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Research Products
(1 results)