Research Abstract |
【緒言】 睡眠時ブラキシズム(ブラキシズム)は,古くから顎関節症や咀嚼筋障害の発症と関連があるといわれてきた.しかしながら,臨床現場でブラキシズムを客観的に測定する方法が存在しなかったため,その真意は未だ明らかでない.そこで,本研究は,咬筋筋活動をもとにブラキシズムの定量評価を客観的に行いうる貼付型ブラキシズム測定装置(Bitestrip,SLP社,イスラエル)を用いて,顎関節症の好発年齢である若年者を対象にブラキシズム頻度を計測し,顎関節症症状との関連を検討した. 【対象と方法】 対象は,岡山県立高等学校1年生全員321名(男性173名,女性148名)のうち,本研究の参加に同意の得られた195名(男性86名,女性109名)である.全ての被検者にキャリブレーションを行った検者が, RDC/TMDの診断クライテリアに基づき,顎関節雑音(クリック) や頭頸背部筋の圧痛など臨床診査を行った.またこれら被検者に貼付型ブラキシズム測定装置を配布し,左側咬筋皮膚上に貼付して就寝させた.この方法で,平成17年度に第一次疫学調査を行っている.その調査から2年後の今年度に最初に研究に参加してデータの得られた126名 (男性48名,女性78名) を対象に第二次疫学調査を行った.そこから得られたデータをもとに,経時的変動やブラキシズムと顎関節症発症や症状継続の因果関係を検討した. 【結果】 横断調査より1。単頸背部筋の圧痛に関しては,ブラキシズム頻度も性差も関連が認められなかったこと,2.ブラキシズムの多寡と顎関節クリックとの間に関連がある可能性が示唆された.しかしながら,顎関節クリックの発症とブラキシズムの多寡に関しては明らかな関連は認められなかった.今後はさらに,第一次調査の結果を予測因子,両調査結果の変化を結果因子として,睡眠時ブラキシズムと顎関節症発症や症状継続の因果関係を明らかにする予定である.
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