2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791442
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉川 峰加 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00444688)
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Keywords | 摂食・嚥下 / 高齢者 / 咬合 |
Research Abstract |
本年度は咬合高径の変化が正常な嚥下機能に及ぼす影響を明らかにするため, 以下のとおり研究を実施した. ● 対象と方法健常若年者5名(男性, 25-32歳)を被験者とした. 咬合挙上を目的とした下顎型スプリント(2.5, 5.0, 7.5, 10.0 15.0mm)を作製し, スプリント未装着時ならびに各スプリント装着時で, 咬合を安定させた状態における嚥下動態(バリウム水溶液10ml, 指示嚥下)を側面よりDSA装置にてDVテープに記録した. その後, 画像解析を行い, 被験者の嚥下機能について定性的ならびに定量的に評価を行った. ● 結果 : 咬合挙上量が増加するに従い口腔通過時間の短縮, 嚥下反射遅延時間, 咽頭通過時間および食道入口部開大時間の延長がみられた. 中咽頭部の閉鎖時間が短縮し, 喉頭蓋反転部位では咽頭後壁への接触が困難になっていった. 舌骨挙上時間・喉頭挙上時間・喉頭閉鎖時間は短縮する傾向がみられた. 15.0mm挙上になると奥舌と咽頭壁との接触が不可能になり, 口腔から咽頭への食塊の積極的な駆出がみられず, 早期咽頭流入や食塊移送時には重力を利用して嚥下する像がみられた. また咬合挙上に伴い口腔準備期にはすでに舌骨は上方移動し, 嚥下反射発生時において舌骨は前方移動のみになる傾向を認めた. ● 考察 : 今回の研究結果より, 咬合挙上がとくに舌骨・喉頭の運動機能や中咽頭・下咽頭の周囲組織に影響を及ぼす可能性が示唆された. 高齢者では喉頭の低位などによる嚥下予備能力の低下が言われており, 要介護高齢者に多く見られる無歯顎の状態に対して補綴治療による咬合の再構成などで適切な顎間関係を回復することが高齢者における嚥下予備能力の低下予防を考える上に有益な示唆を得ることができた.
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Research Products
(5 results)