2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791446
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 裕美子 Kyushu University, 大学病院, 医員 (20432916)
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Keywords | 骨補填材 / 炭酸アパタイト / インプラント |
Research Abstract |
骨欠損部再建の第一選択は自家骨移植であるが、健全部位への侵襲、骨量の制限等の問題があるため、人工骨が注目を集めている。骨は力学的機能以外にも造血機能などの生物学的機能を有しているため、自家骨と同様に新生骨に置換される骨置換材が理想的である。そのためには、人工骨の組成を生体骨の組成に近づける必要がある。本研究では新生骨と置換しうる可能性のある生体骨の無機主成分である低結晶性炭酸アパタイトを天工的に創製することを目的とした。申請者はこれまでにアパタイトがリン酸カルシウム系化合物のうち熱力学的に最も安定な相であることに着目し、セッコウをリン酸塩で処理し、相変換反応を利用することによって形態を維持したまま組成が生体骨のアパタイトに近い低結晶性のハイドロキシアパタイトを創製することに成功した。本研究では、この方法を利用して相変換中に炭酸基を導入し、骨組成に近い低結晶性炭酸アパタイトを創製することによって吸収性や骨置換速度が改善可能であるという着想のもと、以下の実験を行った。 1.生体骨の無機組成を模倣した炭酸アパタイトブロックの調製 任意形態のセッコウ硬化体を作製し、種々の濃度比のリン酸三Na と炭酸 Na混合水溶液中で水熱処理し、形態を保持したまま組成を炭酸アパタイトへと相変換させ、ブロックを調製できた。 2.炭酸アパタイトブロックの材料学的検討 炭酸アパタイトブロックを粉末X線回折赤外分光分析法、元素分析にて分析し、天然の骨の結晶成分に類似していることを確認した。また、試料の気孔性や表面性状についても天然骨と類似していたが、強度についてはさらに向上させる必要を認めた。 3.骨芽細胞および破骨細胞による検討 骨芽細胞様細胞の初期接着性、細胞増殖、細胞分化能や破骨細胞については、現在サンプル数が少ないものの、骨芽細胞による試料上への骨基質添加、破骨細胞による試料吸収が認められた。
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