培養エナメル芽細胞を用いたエナメル質の再生と臨床応用

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19791448
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 篠原 義憲 Kyushu University, 大学病院, 医員 (00423533)
• Keywords: 歯学 / 再生医学 / 細胞・組織

Research Abstract

歯科医学の分野において、高齢化に伴うう蝕や歯周病などによる歯や歯質の損失増加からQOLの向上が求められている。故に歯科治療のゴールは単に欠損部外観の回復や機能回復のみならず、より高いレベルでの咬合維持や口腔諸組織の長期保全に加え、高次元での審美性の回復が求められている。それら理想的な歯科補綴治療を達成するのが、組細胞組織工学技術により再生した歯・歯周組織を従来の歯科医療に応用することであると考えている。
本研究において細胞組織工学的手法を用いたエナメル質の再生と歯科補綴物への応用を目的として、今年度は培養エナメル芽細胞によるエナメル質の組織化技術の開発検討を行った。ブタ第三臼歯歯胚から単離した歯胚上皮細胞をコラーゲン薄膜培養皿にて7日間培養増殖させた。この次代培養した細胞はエナメル質に特異的遺伝子アメロジェニンを発現し、エナメル芽細胞に類似した特徴を有することが分かった。コラゲナーゼによりシート状に細胞層を取り出し、積層させ血流豊富なヌードラットの大網組織に移植した。移植1ヵ月後組織を採り出し組織学的解析を行った結果、幼弱な骨様組織もしくはエナメル質様組織の再生が確認された。本研究により培養エナメル芽細胞を用いたエナメル質組織の再生技術の確立とその臨床への応用の可能性が示唆された。