2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791450
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
張 磊 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 研究員 (90432921)
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Keywords | 生体材料 / 炭酸アパタイト / 骨置換材 |
Research Abstract |
骨の無機主成分である低結晶性炭酸アパタイトと、カルシウムを溶出する成分(炭酸カルシウム)からなる二相性リン酸カルシウム人工骨置換材の創製を目的とする。今年度は、以下の実験を行った。 1.二相性リン酸カルシウムブロックの調製 水酸化カルシウム圧粉体を調製し、これをガス流通型反応器内で二酸化炭素と反応させ炭酸カルシウムブロックを調製した。炭酸カルシウムブロックを 1mo 1/L Na2HPO4 水溶液に浸漬し、60℃で、種々の期間反応させ、炭酸アパタイトー炭酸カルシウムの二相性リン酸カルシウムを調製した。得られた二相性リン酸カルシウムブロックの組成を分析した結果、反応時間が12時間で、67.8%、1日で33.2%、3日で11.2%、5日で6.5%、60日で1.4%の炭酸カルシウムを含む炭酸アパタイトであることがわかった。これより炭酸カルシウムブロックを前駆体として反応時間を変化させることにより、組成の異なる二相性リン酸カルシウムブロックを調製できることがわかった。 2.二相性リン酸カルシウムブロックからのカルシウム溶出量の測定 二相性リン酸カルシウムブロックからの Ca の溶出を、生体内環境を模擬した pH 7.4のリン酸塩緩衝液および pH 5.0の酢酸緩衝液中で検討した。pH 7.4の環境では、微量なCa溶出が検出された。Ca<2+>溶出量は、炭酸カルシウム含有量が多い二相性リン酸カルシウムブロックほど多かった。pH 5.0では、Ca溶出傾向は pH7.4 の場合と同じであったが、顕著なCa溶出が観察された。 以上の結果より、二相性リン酸カルシウムブロックを調製できること、さらにこのブロックは、生体内を模擬した環境でカルシウムを溶出することが明らかになった。本研究で創製した二相性リン酸カルシウムは、低結晶性炭酸アパタイトを主成分とするので破骨細胞により吸収され、炭酸カルシウムからの Ca の溶出により骨芽細胞の活性化が期待されるので、骨リモデリングサイクルにのって迅速に骨に置換される理想的な人工骨置換材として期待される。
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