Research Abstract |
歯科領域における光触媒酸化チタン薄膜コーティング水溶液の研究としてほ,義歯床に付着した色素の除去効果について報告されている程度で,除菌効果について検討した報告は見あたらない。 本研究の目的は,光触媒酸化チタン薄膜コーティング剤(TPX;鯤コーポレーション)を義歯用レジン表面にコーティングすることにより,容易にプラークコントロールが行えるか否かについて検討することにある, まず,加熱重合型アクリリックレジンを用いてレジンプレートを作製し,ペーパーコーンおよびレーズによる研磨を行ったプレートを作製した。さらに,本材料に0.1m/mlの界面活性剤(Surmist;GC)を添加したもの,しないものの2種類の水溶液を作製し,2種類のプレート表面に塗布後,レジンプレートの表面粗さの違いおよび界面活性剤の有無による本剤のレジンプレートへの付着状態について観察し検討したところ,義歯床レジン表面に対するコーティング方法としては,レーズ研磨したレジンプレート上に界面活性剤を添加したコーティング剤を塗布する方法が最も有効であることがわかった。 さらに,義歯床の清掃法の違いがコーティング剤に及ぼす影響について検討するために,上記方法で本剤を塗布したレジンプレートに対して義歯用ブラシ,超音波洗浄器,義歯洗浄剤およびコントロールとして流水のみの4種類による洗浄を行い,1,2,3,4週間後の試験片表面におけるコーティング剤の残存程度を評価したところ,流水のみ,超音波洗浄器および義歯用洗浄剤での清掃はコーティング剤の残存程度に問題はないが,義歯用ブラシでの清掃を行うとコーティング薄膜はほとんど剥離することがわかった。 今後,さらに本剤を塗布することによる義歯床の除菌効果についても検討していく必要があるが,本研究が成就されたならば,現在義歯を使用している患者に対して多大な貢献ができると確信している。
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