2007 Fiscal Year Annual Research Report
欠損補綴治療による咀嚼機能の回復が高次脳機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
19791456
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小林 琢也 Iwate Medical University, 歯学部, 助教 (50382635)
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Keywords | 欠損補綴 / 高次脳機能 / 3T fMRI |
Research Abstract |
1.目的 本研究では歯の欠損に対し補綴治療を行うことで咀嚼機能の回復が脳機能の活性の一助となるとの仮説のもと,ヒトにおいて3T-fMRIを用いて脳内賦活部位の観察から補綴治療の効果を検討することを目的とし,健常有歯顎者と健常無歯顎者との咀嚼活動による脳内活性の変化を比較,また無歯顎者に対する総義歯補綴治療を行い治療の前後における脳内賦活を比較し欠損治療効果について検討を行うことを目的として,本年度は基礎データ収集を行った. 2.方法 健常有歯顎者10名(男性5名,女性5名,平均年齢29.9歳)を被験者とした.課題は人工試験食品(無味無臭のパラフィンワックス)を口腔内に入れた状態での咀嚼運動(咀嚼運動)と口腔内には何も入れずに咀嚼運動と同様の運動(咀嚼様運動)の2課題を行った.実験デザインは2課題によるブロックデザインで各課題は30秒のレストおよび30秒のタスクを交互に4回繰り返し,タスクとレストの状態の差分変化を機能画像として取り出した.撮影にはGE社Signa EXCITEHD 3.0TMRスキャナーを用いて,T1強調法にて形態画像を撮像した後にGRE型エコープレナー(EPI法)によって撮像を行った.画像解析には脳機能画像解析ソフトであるSPM2を使用し,ボクセル毎にt検定を行い,BOLD信号の増加するボクセルを抽出した.この解析によって得られた領域の座標をMNI座標からTalairach座標に対応した標準脳に変換し,解剖学的座標との重ね合わせを行った. 3.結果、考察 咀嚼運動と咀嚼様運動を比較すると,咀嚼運動において主に一次運動野,一次感覚野,運動前野,頭頂連合野,前頭連合野,側頭葉,視床,海馬,小脳で有意に賦活していることがわかった.このことから,食物を咀嚼するための感覚情報の入力およびその情報処理にはこれらの活動部位が関与し咀嚼運動のコントロールを行っていることが示唆された.
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