2009 Fiscal Year Annual Research Report
欠損補綴治療にる咀嚼機能の回復が高次脳機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
19791456
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小林 琢也 Iwate Medical University, 歯学部, 助教 (50382635)
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Keywords | 脳機能 / 無歯顎者 / fMRI / 総義歯 |
Research Abstract |
本研究では歯の欠損に対し補綴治療を行うことで咀嚼機能の回復が脳機能にどのように影響を及ぼすか,3T-fMRIを用いてヒト脳内賦活部位の観察から歯の喪失の影響および口腔再建の効果を検討することを目的とした.本年度は無歯顎群に対して口腔機能回復を補綴治療にて行った際の脳賦活の変化について検討した.被験者は,岩手医科大学歯学部付属病院第一補綴科に来院する健常無歯顎者を選択する. 観察は,義歯を装着しない状態(義歯非装着群)で咀嚼前と咀嚼後に3T-fMRIを撮像,次に,総義歯による欠損補綴後に総義歯装着した状態(義歯装着群)で咀嚼前と咀嚼後に3T-fMRIを撮像する.実験デザインは咀嚼30秒,レスト30秒を1セットとし3セットのブロックデザイン行う.撮像したデータはSPMデータ解析ソフトを用いて脳内賦活部位の同定を行った. その結果,一次感覚野,一次運動野,頭頂連合野,前頭葉などの咀嚼運動に関与する脳部位で義歯装着群と義歯非装着群で脳機能の賦活を認めた.しかし,咀嚼運動のα-Y連関の重要な役割を持つ大脳基底核と小脳では,義歯装着群で賦活を認めたのに対し、義歯非装着群では大脳基底核で賦活を認めず小脳の賦活の様相も異なった. このことから,歯の喪失による感覚情報入力の変化は,咀嚼時における脳賦活様相が変わること,また,義歯により咀嚼機能を回復させることで脳賦活の様相に変化を与えることが明らかとなった.以上より,歯の喪失に対し欠損補綴治療を行い機能回復することは脳機能を護る可能性があることが示唆された.
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