2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791466
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
李 淳 Nihon University, 歯学部, 助教 (10386055)
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Keywords | ドパミン / アデニル酸シクラーゼ / ホスホリパーゼC / 顎運動 / bisphenol-A |
Research Abstract |
近年,ドパミンD1受容体アゴニストとして,アデニル酸シクラーゼを選択的に活性化するSKF83822とホスホリパーゼCを選択的に活性化するSKF83959が知られるようになった。そこで本申請の研究では,自作の磁気センサと磁石による顎運動軌跡検出装置を用い,顎運動発現におけるこれらのD1受容体アゴニストの効果について比較検討した。その結果,SKF83822とSKF83959の静脈内投与はいずれも著明な顎運動を発現させた。この顎運動のタイプを分析した結果,vacuous chewingの発現数はSKF83959の方がSKF83822に比べ多い傾向を示したが,他の運動タイプに著明な差は認められなかった。これまでに,マウスの実験で,SKF83822とSKF83959は顎顔面領域の運動に対して異なる作用を示すことが報告されているが,本研究の結果との相違について,今後検討が必要とされる。 一方,内分泌かく乱物質のbisphenol-Aを幼若期ラットに投与すると,多動症様の症状を示す報告があることから,そのモデルとしての妥当性を検討した。生後5日のラットにbisphenol-Aを処置し,8週齢時に自発行動を観察した結果,bisphenol-A処置群と対照群とで著明な差はなく,methylphenidateに対する反応性も両群間に差は認められなかった。また,前述の顎運動測定装置を用いてapomorphine処置による顎運動の発現について検討した結果,対照群,bisphenol-A処置群ともに同様の顎運動を発現し,両群間に差は認められなかった。以上の結果から,このbisphenol-A処置ラットの多動症モデルとしての有用性は限られたものであることが考えられた。
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