2008 Fiscal Year Annual Research Report
可視光応答型フッ素化アパタイト被覆光触媒の歯科領域への応用
Project/Area Number |
19791469
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
柴田 武士 Kanagawa Dental College, 歯学部, 助教 (80329200)
|
Keywords | 二酸化チタン / フッ素 / アパタイト / 光触媒 / 義歯床用レジン / Candida albicans / 活性酸素 / 電子スピン共鳴法 |
Research Abstract |
本研究においては、光触媒作用が大きいアナターゼ型二酸化チタンにフッ素化したアパタイトを覆させたものを歯科用高分子材料(義歯床用レジン)に配合し、可視光線下で簡便かつ効果的に光触媒機能を発揮させる医用生体材料の開発を目的としている。 I. 電子スピン共鳴(ESR)法による活性酸素種(ROS)検出 フッ素化アパタイト被覆二酸化チタン試料液にラジカル捕捉剤を混和、光照射してESR装置にてROSの検出を行った。試料液からはヒドロキシラジカル(HO)産生が確認され, 産生量は他群と比較し有意に増加した。 II. Candida albicansの付着試験 C. albicans菌液を調整した懸濁液内にレジン試験片を浸漬させ、37℃・2時閥光照射下にて培養を行い、その後試験片に付着した生菌数を測定したところ、フッ素化アパタイト被覆二酸化チタン配合レジン群において、二酸化チタン無配合群と比較し有意に付着生菌率の減少が認められた。特にその中で、フッ素化アパタイト被覆二酸化チタン配合率を上げると付着が生菌率のさらなる減少傾向が示されたが、5%以上の配合率にするとそれは認められなくなった。また、義歯表面に付着した菌の形態について表面性状観察(SEM)を行ったところ、0%では細胞形状に変化が見られないものの、フッ素化アパタイト被覆二酸化チタン配合レジン群では細胞が変成した像が確認できた。 本年度実験結果より、フッ素化アパタイト被覆二酸化チタンより抗菌力の主体をなすHO'が産生されることが確認された。また、値の二酸化チタン群よりも光触媒効果が効率的に活性化されることでより短時間で抗真菌効果が得られることもわかった。フッ素化アパタイト被覆二酸化チタン配合レジンはデンチャープラークコントロールに有意義であることが示唆され、臨床応用に期待される。
|