2008 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時ブラキシズム動物モデルの開発と自然睡眠時の咀嚼筋活動の生理学的特性の解析
Project/Area Number |
19791470
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 隆史 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 講師 (50367520)
|
Keywords | 睡眠時ブラキシズム / 動物モデル / 覚醒レベル / micro-arousal / 自律神経活動 / 咀嚼筋活動 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に収集したデータにおいて睡眠深度と咀嚼筋活動との関連の解析および薬物投与実験を行った。記録した脳波、眼電図、頚部筋電図、心電図、咬筋または顎二腹筋の記録を定量化し、睡眠覚醒レベルの分類と、ビデオ記録を基に覚醒時の行動を分類した。その上で、咀嚼筋や頚筋の筋活動積分値・脳波の徐波活動量・平均心拍数を算出した。覚醒中、咀嚼・飲水中は開閉口筋の筋活動バランスは一定であり、特定の神経機構による活動調節があることを示唆した。一方、睡眠中は筋活動レベルが低下するが、閉口筋が開口筋より高く、NREM・REM睡眠において開閉口筋の筋活動バランスは大きくばらつくことから、各睡眠全体では咀嚼筋への興奮性入力は不均一で特定の調節機構がないといえる。さらに、脳波活動・心拍数と筋活動量との関連を調べると、NREM睡眠では脳波の徐波活動量の低下に伴い全筋の筋活動量が上昇し、平均心拍数の上昇に伴い閉口筋の筋活動が上昇した。この傾向はREM睡眠では認められなかった。また、NREM睡眠に散見される反復性の閉口筋活動が出現すると、一過性の心拍数の上昇と徐波活動量の低下傾向が認められた。さらに、alpha-2アゴニストの濃度依存的な影響を調べる実験を行ったが、脱落率が高く解析が十分なデータが得られなかったので今後の課題としたい。以上の結果は、ヒトにおける睡眠時ブラキシズムにおいてNREM睡眠に頻発するブラキシズムがmicro-arousalのような睡眠中の覚醒レベルの変化と密接に関連しているという所見と一致しており、実験動物で自然睡眠中に発生する睡眠時ブラキシズムモデルとして今後の研究に有用であると考えられる。さらに閉口筋活動が優位である結果は、睡眠時ブラキシズム患者で観察される閉口筋痛の発症との関連が推察できる。
|
Research Products
(7 results)