Research Abstract |
本研究課題では幹細胞からさらに分化した状態の筋芽細胞・筋管細胞を中心とする未成熟筋組織からin vitroにおいて骨組織を誘導することを試みている. それに際して, サイトカインには骨形成因子であるBone Morphogenetic Protein (BMP), scaffoldにはexpanded-polytetrafluoroethylene (e-PTFE)膜を用いた. これまでの実験から, 未成熟筋組織は組織学的に, 骨芽細胞様細胞とこれらの細胞が形成したと思われる類骨からなる骨様組織に分化することが分かった. さらに, 誘導された組織が骨系の組織であることを検証するため, 各種解析を行った. (1) 培養組織の軟エックス線およびマイクロCT観察 : 軟エックス線像において, 培養組織の一部に不透過性のやや強いか所が観察され, マイクロ. CT観察ではその部位が明確に確認できた. (2) H-E染色および, I型コラーゲン, オステオポンチン, オステオカルシンの免疫染色による組織観察 : H-E染色では, 組織の一部に骨芽細胞様細胞と類骨が観察され, I型コラーゲン, オステオポンチンおよびオステオカルシンの免疫染色ではいずれも類骨部が染色されていた. (3) RT-PCRによる各種骨系遺伝子の定性および定量 : 培養1, 2, 3, 7, 10, 14日目にmRNAを抽出後, RT-PCRを行った(培養1, 2, 3日目にRunx2/Cbfa-1およびOsterixについて, 培養3, 7, 10, 14日目にI型コラーゲン, オステオポンチンおよびオステオカルシン)結果, 観察した全ての骨系遺伝子の発現が確認された. さらに, Runx2/Cbfa-1の遺伝子発現は特に2日目に強く認められ, オステオカルシンの発現量は培養期間中終始少なかったものの, I型コラーゲンとオステオポンチンの発現量は培養期間中増加していた. (4) エネルギー分散型X線分析(EDS) : EDSにより細胞外基質にCaとPが確認され, その重ね合わせ像から同位に存在していることが確認され, 骨と同じリン酸カルシウム系の組織が誘導されていることが分かった.
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