2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791475
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
山本 さつき Osaka Dental University, 歯学部, 助教 (20399091)
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Keywords | 神経因性疼痛 / NMDA受容体 / 学習記憶能 |
Research Abstract |
歯科臨床において, 口腔内に慢性的な疼痛や不快感を訴える患者は多い. このような患者は必要な歯科治療を行い, 明らかな歯科疾患が治癒した後でも主訴が消失しない場合も多々見受けられる. そして, このような患者は治癒の兆しがわからないということに不安感を訴えるようになる場合も多く, 歯科医師としてどのような治療を行っていけばよいのかわからなくなる. このような症例を経験していく中で, 神経因性疼痛が情動に及ぼす影響を科学的に明らかにしていく必要があると感じ, 今回の研究を開始した. 今回は受動的回避装置と人方向迷路を用いてCCIモデルラットの学習能力と記憶能力の評価を行い, 神経因性疼痛を有するラットの学習記憶能を客観的に評価した. その結果, 神経因性疼痛を有するラットの学習記憶能が向上するという結果が得られた。また, NMDA受容体拮抗薬のケタミン, MK-801を与えたラットでは対照群と同様に学習記憶能の低下が起こった. 今回の結果は神経因性疼痛を有する場合には学習記憶能が低下するという一般的な結果と異なっていた. これは神経因性疼痛の持続的な疼痛刺激による記憶の長期増強の維持が推察された. また, NMDA拮抗薬の投与により, 持続的な長期増強が抑制されることも推察された. このような結果を踏まえて, 今後も神経因性疼痛が情動に及ぼす影響を明らかにしていく予定である.
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