2008 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス制御化合物を用いた口腔癌の血管新生と微小転移の抑制
Project/Area Number |
19791482
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠原 文明 Tohoku University, 病院, 助教 (80400258)
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Keywords | 血管新生 / 口腔癌 / VEGF |
Research Abstract |
平成20年度は以下の内容に取り組み研究成果をあげた。 In vitroにおける抗腫瘍効果と血管新生抑制効果の評価 口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3)、およびp53野性株の肺癌細胞株A549, 乳癌細胞株MCF-7を用いて、HDAC阻害剤(SAHA)またはDMT阻害剤(Decitabine, Zebularine)と各種抗癌剤(シスプラチン、5-FU)を併用し、抗腫瘍効果の検討をTUNEL法で、血管新生因子(VEGF-A、VEGF-C)の産生についてはELISA法で解析した。 【結果】抗癌剤単独処理に比較して抗癌剤(CDDP, 5-FU)とSAHAやzebularine(ZEB)を併用することで、アポトーシスが増強した。血管新生因子に対する効果として、SAHA、ZEBともにVEGF-A, VEGF-Cの産生を抑制した。この抑制メカニズムとして、ZEBによるHIF-1αの分解が示唆された。VEGF-Aを阻害するモノクロナール抗体(Bevacizumab)とCDDPとの併用によるアポトーシス増強作用は確認されなかった。このことから、ZEB, SAHAはVEGFを抑制し、かつアポトーシス増強作用をもつが、VEGFの抑制が直接、抗癌剤誘導性のアポトーシス増強に関与しているわけではないことが示唆された。 【研究成果の意義】20年度の研究実施結果により、エピジェネティクス制御剤であるSAHAやZEBは口腔癌の薬剤感受性増強や癌の血管新生抑制に有効であることが示唆された。特に、ZEBによる血管新生因子の抑制と、その抑制にHIFが関与している事は今までに報告されていない新知見である。しかし、エピジェネティクス制御剤の効果は、併用する抗癌剤の種類、細胞種により異なり、抗癌剤の代謝や抗腫瘍効果の作用機序に依存していることが推察され、臨床応用に向けて、更なる解析が必要である。
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