2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌における制御性T細胞の誘導制御機構とその役割の解明
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19791503
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡邉 賀子 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部・附属病院, 医員 (10444358)
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Keywords | 扁平上皮癌 / 口腔 / 免疫細胞 / 遊走細胞 / ケモカイン |
Research Abstract |
癌組織中に免疫担当細胞が浸潤し、癌免疫に関与することが知られており、癌免疫療法などに応用されている。われわれは、これまでに、初期の舌癌において、免疫担当細胞の浸潤を認め、癌実質および癌間質それぞれに浸潤する免疫担当細胞のサブセットが異なることを見出し、舌癌の癌胞巣内に、PD-1陽性の抑制性CD8陽性T細胞やNK細胞の選択的浸潤が見られることを明らかにしている。近年、免疫抑制に関与する制御性T細胞という新しいリンパ球サブセットが同定され、癌の病態形成における制御性T細胞の重要な役割が明らかとなりつつあり、予後に関係するという報告もなされている。また、制御性T細胞はケモカインレセプターの発現の違いにより、さらに複数の機能的に異なるサブセットに分類されることが明らかになってきている。今回われわれは、口腔扁平上皮癌においても、制御性T細胞の浸潤が認められることを確認し、さらに、制御性T細胞の中にも異なるサブセットのものが存在することを見出した。口腔扁平上皮癌患者において、手術、化学療法、放射線療法といった様々な効果的な治療法が取り入れられても、その病期とは関係なく、予後不良者が認められる。そこで、癌組織における制御性T細胞の浸潤と予後に関連があるか、口腔扁平上皮癌症例に対し免疫組織染色を用いることによって、統計学的な検索を試みた。その結果、制御性T細胞のサブセットにおいて、その細胞密度が増加すると予後が不良になることを明らかにした(論文投稿中)。現在、そのリガンド発現と予後の関係を検索中である。
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