2007 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を用いた骨再生医療におけるWntシグナルの影響に関する研究
Project/Area Number |
19791504
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 渉 Nagoya University, 医学部・附属病院, 医員 (10437030)
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Keywords | Wntシグナル / 再生医療 / 未分化間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
近年、未分化間葉系幹細胞(MSC)の増殖および骨分化の過程において、Wnt/B-カテニン経路による制御が関連していることが明らかになってきた。そこで、本研究ではMSCの臨床応用における培養過程において、このWntシグナルを調節することにより効率的かつ効果的に骨分化誘導を行い、骨再生医療における更なる治療期間の短縮や効果的な骨造成を行うことを目的に検討を行った。 まず、MSCの持つ細胞特性をWntシグナルの面から把握するために検討を行った。 MSCの増殖過程においてB-カテニンのリン酸化を阻害し、その結果Wnt/B-カテニン経路を賦活する塩化リチウムを培養液に添加した。また、その増殖能をBrdUラベリング法にて各濃度で検討した。さらに、骨分化過程においてWntレセプターであるFrizzledをWntと競合的に阻害し、Wnt/B-カテニン経路を負に制御するsFRP-3を分化誘導培地に添加した効果について、Alizalin Red染色にて石灰化を、RT-PCR法により骨形成関連遺伝子の発現を分化誘導後7、14日目に評価した。 MSCの増殖過程において塩化リチウム4mM添加群で非添加群に比べ、増殖能の増強が認められた。また、骨分化過程においてはsFRP-3添加群では分化誘導開始後7日目より非添加群に比較し、Alizalin Redに対する染色性を認め、ALPやRunx2などの骨形成関連遺伝子の発現増強を認めた。 MSCの培養過程において、Wntシグナルを調節することにより、増殖因子を関与させず、効率的に細胞を増殖させ、さらに効果的骨分化能を上昇させられる可能性が示唆された。 このことはMSCを用いた臨床応用の現場において、治療期間の短縮や治療の効率化に寄与すると考えられた。
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