2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791510
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯村 恵美子 Osaka University, 歯学部附属病院, 医員 (70397701)
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Keywords | 他家移植 / 唾液腺 / 神経移植 |
Research Abstract |
腫瘍等で広範囲に欠損しても口腔機能を温存できるような再建法を確立しようとしたとき、自家移植では限界があり、同種他家移植を考慮する必要がある。しかしながら、再建後の口腔機能の回復を考えるとき、さらに神経の作用が重要になってくる。移植を行った組織においても神経による知覚・運動が可能になれば、術後のQOLも大きく変化するであろう。この可能性を検索するためには、顎顔面領域において神経支配の回復を客観的に観察できる組織が必要となるが、これには鼓索神経中の副交感神経に支配されている顎下腺が挙げられる。 我々は、すでにイヌを用いて顎下腺の血管柄付同種他家移植を行い、生着することを確認した。また全身麻酔下、ムスカリン作動薬(ピロカルピン)にて刺激すると、移植顎下腺の唾液の流出量も非移植側と比較してほぼ変わりなく認められた。本研究では、さらに神経も同時に他家移植し、移植側および健側の顎下腺の導管を口腔外に露出、唾液瘻を作成し、唾液分泌量を測定した。安静時および味覚刺激時による唾液流出量を覚醒下にて測定すると、神経吻合を行ったものは行わなかったものと比較し、有意に唾液流出量が多かった。また、全身麻酔下、吻合部より中枢側の神経を電気刺激すると、唾液流出量が有意に増加した。摘出した移植唾液腺の病理組織像は、神経の移植を行わなかったものは脂肪化を起こしていたが、神経の移植を行ったものは、脂肪化や萎縮を起こしていなかった。これらの結果より、他家移植においても神経の移植は意義のあるものということが明らかとなった。
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