2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青田 桂子 Osaka University, 歯学部・附属病院, 医員 (70437391)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / メシル酸イマチニブ |
Research Abstract |
単一の癌遺伝子を発現抑制するのみでマウス難治性悪性腫瘍の分化誘導による治癒が観察され、癌遣伝子への依存が癌のアキレス腱となることが示された。ヒトでも慢性骨髄性白血病において癌遺伝子として機能しているBcr-Ablを分子標的としたメシル酸イマチニブ(グリベック)が臨床応用され、その有用性が示された。グリベックはBcr-Abl以外にもc-Kit、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性阻害効果を有している。そこで、本研究では口腔扁平上皮癌に対するグリベックの抗腫瘍活性の有無について検討した。まず、ヒト不死化角化上皮細胞株および培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞株よりtotal RNAを抽出し、グリベックの標的分子の発現を検索したところ、c-Ablの発現亢進が共通して認められたが、c-Kitの発現は全く認められず、PDGFRの発現は多様であった。次に、口腔扁平上皮癌組織を用いた免疫組織化学染色による検討では、c-Ablおよびc-Kitの蛋白質発現は全く検出されなかったが、PDGFRBの発現が20%の症例に認められた。さらに、グリベックの癌細胞増殖に与える影響を10種類の培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞を用いて検討したところ、その効果は多様であり、高い感受性を示す細胞株もあれば抵抗性を示す細胞株も認められた。なお、その感受性と標的分子どの発現様式に相関は認められなかった。以上の結果より、グリベックは口腔扁平上皮癌に対して抗腫瘍活性を発揮する可能性が示唆されたが、その効果は多様であるため、臨床応用を試みる際には治療前の感受性診断法の確立が必須であると考えられた。
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Research Products
(3 results)