2007 Fiscal Year Annual Research Report
カテキン類による増殖因子受容体の分解促進機構の解明
Project/Area Number |
19791515
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
吉村 仁志 Shimane University, 医学部, 助教 (40362917)
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Keywords | 血小板由来増殖因子 / カテキン類 / ユビキチン |
Research Abstract |
血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)は頭頸部癌を含む様々な腫瘍にて高度に発現し,治療における分子標的としての有用性が検討されている.緑茶成分に含まれるカテキン類の中でエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)は癌や心血管疾患や神経変性疾患などに対する有用性が基礎・臨床研究により報告されている.今回我々はPDGFR蛋白質レベルでの影響について検討を行い次のことが明らかとなった. (1)様々なカテキン類においてEGCGのみが添加2時間後よりPDGFR-βの蛋白質レベルでの減少を引き起こした. (2)PDGFR-β蛋白質レベルでの減少が蛋白質の分解の促進か合成の低下であるのかを確認するため,蛋白合成阻害剤CHXを添加し調べた結果,合成系が止められても6時間ではPDGFR-βは大きく減少しないこと,またEGCGとの併用で減少の促進作用があることから,分解を促進していると考えられた. (3)PDGFR-β分解はまずプロテアソームにて行われた後とライソソームで行われるが,プロテアソームおよびライソソームの阻害剤を添加にてPDGFR-βの分解は減少した. (4)PDGFR-β分解はまず細胞膜上てPDGFR-βがユビキチン化を受けた後にプロテアソームに移動し分解されるが,免疫沈降法にて調べた結果,EGCG処理はPDGFR-βのポリユビキチン化を促進することが明らかとなった.またプロテアソームの阻害剤にて分解を抑制するとさらにユビキチン化の増強を認めた. (5)PDGFRにはαとβのアイソフォームがあるがβだけではなくαもEGCGに添加による減少を認めた. 以上によりEGCGはPDGFRを蛋白質レベルにて減少させこれは生理的蛋白質分解機構であるユビキチン-プロテアソーム分解経路の活性化によることが示唆された.今後頭頸部扁平上皮癌の腫瘍細胞での有効性を評価していく予定である.
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Research Products
(1 results)