2008 Fiscal Year Annual Research Report
超効率型CXCR4 siRNAを用いた口腔癌のリンパ節転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
19791524
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内田 大亮 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
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Keywords | CXCR4 / siRNA / リンパ節転移 |
Research Abstract |
本年度は、small interfering RNA(siRNA)を用いたCXCR4の発現抑制により口腔癌のリンパ節転移抑制が可能であるか検討するために以下の実験を行った。すなわち、前年度にluciferase遺伝子を恒常的に発現するB88-luc細胞とluciferase GL3 siRNAを用いて得られたtransfectionの条件(2μlのLipofectamine 2000を48μlのOpti-MEMで希釈し、60pmolのsiRNAと混合する)を参考に、合成した3種類のCXCR4 siRNAオリゴ(A, B, C)をCXCR4高発現株である口腔癌細胞B88にtransfectionした。その結果、配列Aを用いた場合にCXCR4 mRNAの発現はリアルタイムRT-PCRにて50%程度減弱したが、配列B, Cにおいてはそれぞれ30%, 20%の発現抑制しか得られなかった。この条件下でフローサイトメトリーを用いてCXCR4タンパクの発現を検討したが、mRNAレベルとほぼ同程度の抑制効果であった。そのため、Lipofectamine量あるいはsiRNA量を変更してtransfectionを行ったが、CXCR4の発現抑制効果の改善は得られなかった。配列Aを用いCXCR4の発現が50%程度抑制された条件下で、リガンドSDF-1を用いたmigration assayを行った。しかしながら、CXCR4特異的阻害剤であるAMD3100を用いた実験系と比較して、CXCR4 siRNAによる細胞遊走の抑制効果は50%程度しか得られなかった。そこで、AMD3100をB88細胞の同所性移植モデルに使用したところ、B88細胞のリンパ節転移は著明に抑制され、腫瘍随伴性の体重減少も抑制された。以上より、siRNAを用いた実験系では導入効率の改善と配列特異性が極めて重要であり、核酸薬品としてのCXCR4 siRNAの使用は困難であること、CXCR4特異的阻害剤AMD3100はCXCR4を発現している口腔癌のリンパ節転移抑制に有効である可能性が示唆された。
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