2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平苔癬発症におけるTLRシグナルの関わりと癌化に関わる遺伝子発現
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19791527
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
立石 善久 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 助教 (20372732)
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Keywords | 口腔扁平苔癬 / TLR / マイクロアレイ |
Research Abstract |
口腔扁平苔癬(OLP)は中高年の女性を中心に比較的高頻度に認められる慢性炎症性疾患であるが、その病因は未だに明らかにされていない。近年、病原体認識に必須の受容体であるToll-Like receptor (TLR)が自然免疫のみならず獲得免疫にも影響を及ぼし、種々の炎症性疾患の発症あるいは進展に関与していることが明らかになってきている。そこで、OLP発症におけるTLRシグナルの関わりとその癌化に関わる遺伝子発現について検討し、以下の結果を得た。 1. OLP病変部の上皮細胞は正常粘膜上皮に比べ有棘細胞層におけるTLR2発現が亢進していたが、TLR4の発現はOLP病変部上皮と正常粘膜上皮との間に違いは認められなかった。 2. cDNAマイクロアレイによる解析の結果、OLP病変部では正常粘膜に比べTLR2およびTICAM14遺伝子の発現が増強しているものの、TLR1、TLR3、TLR4、TLR6、TLR7、TLR9およびTLR10遺伝子のシグナルは正常粘膜との間に差は認められず、さらに、癌化したOLPと癌化しなかったOLPにおいて明らかに発現に違いのある遺伝子は見出せなかった。 3. OLP患者の末梢血単球は健常人のものに比べTLR2およびTLR4を有意に高発現しており、網状型の患者の単球はビラン・潰瘍型の患者の単球に比べより強くTLR2およびTLR4を発現していた。 4. OLP患者末梢血単球のTLR2リガンド (Proteoglycan)あるいはTLR4リガンド(Lipopolysaccharide)刺激によるサイトカイン産生は、健常人の単球に比べIL-12産生は亢進し、逆に、IL-10産生は減弱していた。 以上より、OLPの発症および病態形成にTLRを介するシグナルが関与している可能性が示唆されたが、OLPの癌化を予見させる遺伝子発現異常を見出すことはできなかった。
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Research Products
(1 results)