2007 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮癌のEph-Ephrinシグナルを介する浸潤・転移機構の解析
Project/Area Number |
19791528
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
笹部 衣里 Kochi University, 医学部・附属病院, 助教 (40363288)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / Eph / Ephrin / 浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌組織および株化口腔扁平上皮癌(OSC)細胞におけるEphB/EphrinB発現について検討し以下の結果を得た。 1)EphB4 の発現は正常口腔粘膜上皮、口腔扁平上皮癌いずれにおいても認められなかった。EphrinB1 は正常口腔粘膜上皮、口腔扁平上皮癌いずれにおいても強く発現し、EphrinB2 は正常口腔粘膜上皮よりも口腔扁平上皮癌で強い発現が認められた。 2)EphB2〜4、EphrinB1〜3 の mRNA および蛋白の発現は OSC-1〜8 いずれにおいても認められたが、細胞間に発現程度の差が認められた。しかし、mRNAレベルと蛋白レベルとの間に相関は認められなかった。 3)EphB/EphrinB の発現と OSC の増殖能との間に関連は認められず、EphrinB1〜B3/Fc、EphB2〜B4/Fc キメラ存在下に培養しても OSC 細胞の増殖能は影響を受けなかった。一方、無血清培養による OSC-4 細胞のアポトーシスは、EphrinB1〜B3/Fc、EphB2/Fc、EphB4/Fc キメラで前処理することにより抑制された。 4)高浸潤能の OSC-1 および-4細胞における EphB2 およびEphB4 の発現は強く、一方、低浸潤能の OSC-5 および-7細胞では弱く、OSC 細胞の浸潤能とEphB2 およびB4 の発現との間に関連が認められた。 5)EphrinB1〜3/Fc、EphB2〜3/Fc キメラはOSC-4細胞の浸潤能を抑制し、EphB4/Fc キメラは浸潤能を促進した。さらに、EphrnB2〜3/Fc、EphB2〜4/Fc キメラ処理により MMP-2 および-9活性が上昇した。これらとともに、EphrinB/Fc キメラ処理により細胞膜分画におけるE-カドヘリン発現が亢進した。 以上のことより、口腔扁平上皮癌において EphB/EphrinB シグナルはOSC 細胞の増殖には影響しないものの、アポトーシスを抑制するとともに浸潤能を亢進させることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)