2007 Fiscal Year Annual Research Report
含嗽液からのエピジェネティック異常検出による口腔癌スクリーニング法の確立
Project/Area Number |
19791533
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浜田 倫史 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00444894)
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Keywords | 口腔癌 / エピジェネティック異常 / DNAメチル化 / ヒストンタンパク修飾状況 |
Research Abstract |
(1)サンプル採取 本研究は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科内の倫理委員会の承認のうえ、実施された。10例の口腔癌患者からインフォームドコンセントを得たうえで含嗽液を採取した。方法としては、まず16mlの生理食塩水を30秒間含嗽させ回収したうえで2000rpmで5分間遠心分離し上澄みを廃棄した。これらの細胞ペレットは使用まで-80℃で保存された。 (2)解析系の確立 まずわれわれは口腔領域で癌におけるエピジェネティック異常が報告されているp16^<INK4a>遺伝子をターゲットとした。予備実験として培養細胞株を用い、DNAプロモーター領域のメチル化の状態をmethylation specific PCR法(MSP)で、ヒストンタンパクの修飾状況をクロマチン免疫沈降法(ChIP)で検出し、遺伝子発現量をリアルタイムRT-PCR法にて検出した。ACC3(p16発現陽性)およびT-47D(p16発現陰性)を用いたところ、DNAメチル化、ヒストン修飾状況および実際のmRNA発現量に整合性を認めた。 (3)含嗽液における解析結果 3例の健常ボランティアから得た含嗽液を用いたMSPでは、全例に非メチル化を認めた。口腔癌患者では、5例にp16遺伝子の発現抑制を認め、4例の症例において、p16^<INK4a>遺伝子のDNAプロモーター部位のメチル化と実際のmRNAの発現レベルとに整合性があった。ChIPを用いた検討では、9例の症例において、ヒストンH3リジン9の修飾状態は、実際のmRNA発現レベルと整合性があった。これらの結果により、われわれが作成したオリジナルプロトコルにおいて、含嗽液を用いた包括的なエピジェネティック異常の検索が可能であることが明らかになった。現在継続的に口腔癌患者より含嗽液を採取しており、症例数および標的遺伝子を増やして解析中である。
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Research Products
(2 results)