2008 Fiscal Year Annual Research Report
含嗽液からのエピジェネティック異常検出による口腔癌スクリーニング法の確立
Project/Area Number |
19791533
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浜田 倫史 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00444894)
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Keywords | 口腔癌 / エピジェネティクス / 含嗽液 / p16^<INK4a> / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / ChIP法 / 分子腫瘍マーカー |
Research Abstract |
エピジェネティック異常は多臓器の腫瘍・前癌病変で報告があり、癌の診断や予後予測に有用であることが示唆されている。一方、口腔含嗽液は、患者に侵襲を与えることなく簡便かつ短時間に採取でき、診断の際の理想的な試料になりうる。そこで本研究では、含嗽液を用いて癌関連遺伝子群のエピジェネティック異常を検討し強力な遺伝子マーカーを同定することで、癌のハイリスク群のスクリーニングや早期診断の際の簡便かつ非侵襲的な診断方法を確立することを目的とした。 本研究は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科内の倫理委員会の承認の上、実施された。口腔癌症例および健常者からわれわれの考案したプロトコールに従い含嗽液を採取し、DNA異常メチル化およびヒストン修飾状態の検索が可能であるかを検討した。標的遺伝子としては、p16^<INK4a>を対象とした。 口腔癌患者の含漱液より得られたサンプルを対象にした実験では8例中5例にp16遺伝子の発現抑制を認め、MSPで異常メチル化を検出した。症例8例中6例においてmRNA発現とChIP Assay結果に矛盾がなかった。これにより、われわれが作成したオリジナルプロトコルにおいて、含嗽液を用いたChIPによるヒストン化学修飾状態の検索が可能であることが初めて明らかになった。 口腔含嗽液を用いたChIP法は非侵襲的かつ簡便であり、DNAメチル化状態と合わせてp16をはじめとするさまざまな腫瘍抑制遺伝子のエピジェネティクス異常を検索することにより、口腔癌の強力な診断ツールとなると思われる。なお本研究は第26回日本口腔腫瘍学会総会・学術大会および第62回日本口腔科学会総会にて発表された。
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