2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791556
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 厚 Aichi Gakuin University, 歯学部, 講師 (30329619)
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Keywords | ヒト口腔扁平上皮癌 / Podoplanin / TGF-β / Smad2 / がん幹細胞マーカー |
Research Abstract |
我々はリンパ管内皮細胞の新しい診断マーカーであるPodoplaninがヒト口腔扁平上皮癌(ORSCC)に高率(約70%)に発現していることを見いだし、報告してきた。しかしORSCCにおけるPodoplaninの役割やその発現機序については殆どわかっていない。本年度は、Podoplanin発現制御におけるTGF-βの役割についてORSCC細胞株を用いて検討した。フローサイトメトリーによる検討では検索しだ4種類の細胞株のうち3株はPodoplaninを細胞膜上に高発現していたが、1株は低発現であり、細胞により発現強度に差異が認められた。TGF-βはPodoplanin高発現細胞では時間ならびに濃度依存的にPodoplaninを発現誘導したが、低発現細胞ではPodoplanin発現を誘導しなかった。このTGF-βによるPodoplaninの発現誘導はTGF-β Type 1受容体阻害剤(SB431542)により有意に抑制された。またPodoplanin発現に呼応して、TGF-βの下流シグナルであるSmad2のリン酸化がTGF-β刺激により亢進し、SB431542処理により減弱することも判明した。以上の結果から、ORSCC細胞株の多くではPodoplanin発現はSmad2/3シグナル経路を介してTGF-βにより正の制御を受けていること、一部のORSCC細胞ではTGF-βに依存しない別の制御機構が存在する可能性が示唆された。最近、TGF-βが一部の口腔扁平上皮癌においてPodoplanin発現誘導と同時に、EMT(上皮間葉系移行)を誘導することが報告されている。今回明らかになった知見はPodoplaninががん幹細胞マーカーであるとする報告と矛盾せず、PodoplaninがORSCCの浸潤、転移(リンパ節)などの悪性化に関与する可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)