2008 Fiscal Year Annual Research Report
牽引側の骨形成・石灰化過程におけるマトリックスベジクルの役割
Project/Area Number |
19791564
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 和美 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (10396715)
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Keywords | 歯科矯正 / 石灰化 / 骨形成 |
Research Abstract |
本年度の研究では、以下の流れで石灰化の起点となる基質小胞に対する特異抗体の作製を試みた。基質小胞の単離と特異物質同定には、高石灰化能を有するマウス骨細胞由来の細胞株MLO-A5を用いた。同細胞株は、T抗原を遺伝子導入した遺伝子改変マウスの長幹骨由来の骨細胞より樹立し、高石灰化能を有し、大量の基質小胞(matrix vesicle, MV)を分泌することが知られているが、このMLO-A5を血清存在下で培養し、βグリセロリン酸およびアスコルビン酸を添加して石灰化を誘導した。本石灰化誘導条件において細胞は、基質小胞を大量に分泌したが、シャーレ上で培養したMLO-A5および産生された基質を0.25%トリプシンで処理し、細胞を遠沈した後、培養上清を高速回転(100,000g)で遠心し、基質小胞を単離した。次いで、単離した基質小胞を抗原としてSPFで飼育したラット(WKY/NCrj)の足部に皮下注射した。抗原注射後、3週で腹部大動脈リンパ節を摘出し、B細胞を単離し、単離したB細胞とミエローマ細胞をPEGで融合させ、おおよそ100万種類のハイブリドーマ細胞を作製した。現在は、作製したハイブリドーマ細胞の中から、基質小胞に特異的な物質を認識する抗体を産生するものを選択する目的で一次スクリーニングを行っている。すなわち、対照として、同じくT抗原を遺伝子導入した遺伝子改変マウスの長幹骨由来の骨細胞より樹立した細胞株で、逆に基質小胞を分泌せず石灰化も生じないMLO-Y4細胞を使用し、ELIZA法を用いて、MLO-A5に結合するがMLO-Y4には結合しない有望なハイブリドーマ細胞を複数同定し、現在、詳細に解析中である。
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