2007 Fiscal Year Annual Research Report
膜蛋白異常症をもたらす遺伝子・タンパクを指標にしたエナメル質形成機構
Project/Area Number |
19791569
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 承子 Niigata University, 医歯学総合病院, 助教 (10397127)
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Keywords | エナメル質 / 免疫組織化学 / 微細局在 / イオン輸送 / Na^+-K^+-ATPase |
Research Abstract |
歯の硬組織形成過程では、各発生段階に特異的なタンパク合成、分泌、吸収、イオン輸送、石灰化に関連する機能変化、形態変異が時空間的に起こっている。特に,エナメル芽細胞はその分化過程で、同一の細胞が分泌性上皮から、吸収性上皮へ、さらには石灰化物形成上皮へと変化し、また、エナメル器を構成する中間層細胞、乳頭層細胞などの細胞は、エナメル基質、各種のイオン、水分、無機イオン輸送に積極的な役割を果たしていると考えられている。一般的に、ENaCは極性を持った上皮細胞のアピカルメンブレンapical membraneに局在し、密着上皮を介するNaイオン輸送に関与している。一方、細胞膜を介する電気化学的Naイオン濃度勾配によって細胞内に進入するNaイオンは、そのバゾラテラルbasolateral side側に局在するNa^+-K^+-ATPaseによって結合組織中にくみ出されていると考えられている。エナメル器乳頭層細胞は細胞質突起が絡み合った細胞間チャンネルを形成する細胞で、この細胞層内には、有窓毛細血管を抱き込んでおり、この形態学的特徴は活発な物質輸送の存在を示している。 これまでの研究では、エナメル器におけるNa^+-K^+-ATPaseの発現は、エナメル芽細胞ラテラル側細胞膜と乳頭層細胞の細胞質突起にみられることが報告されている。しかしながら、これらの報告は古典的な組織細胞化学的手法を用いたもので、主にエナメル芽細胞の観察に主眼が置かれ、エナメル器全体としてのNa^+-K^+-ATPaseの発現の局在は明らかにされていない。また、特に、我々が注目する、機能的分泌腺としてのエナメル器細胞群の形態変化に対応させたものではなかった。本研究で、Na^+-K^+-ATPaseの局在を、エナメル質分泌形成における、細胞群の形態変化とNa^+-K^+-ATPase発現の変化について、免疫組織学的、微細形態学的に検討し所見を得、エナメル質形成過程の体液輸送、イオン輸送におけるNa^+-K^+-ATPaseの存在意義を明らかにした。
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