2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜蛋白異常症をもたらす遺伝子・タンパクを指標にしたエナメル質形成機構
Project/Area Number |
19791569
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 承子 Niigata University, 医歯学総合病院, 助教 (10397127)
|
Keywords | エナメル質 / 免疫組織化学 / 微細局在 / イオン輸送 / Na^+-K^+-ATPase |
Research Abstract |
歯牙組織における2種のステロイドホルモン受容体の特異的発現により、歯牙組織がステロイドホルモンの標的器官であることをあきらかにした。その後グルココルチコイドによって制御されるNa-K ATPase(ポンプ)のエナメル器における発現を明らかにした。これら歯の硬組織形成過程において、エナメル芽細胞における膜輸送タンパクの発現、変化をもとに膜輸送タンパク異常症の原因遺伝子・タンパクの役割が重要であると考えた。膜輸送タンパク異常症は、異常膜輸送タンパクに起因する膜輸送障害によって惹起される疾患で、主たる膜輸送タンパク質はチャンネルと輸送体(トランスポータ)である。この膜輸送たんぱく異常症をもたらす遺伝子・タンパク質に関連して、アクアポリン1、アミロライド感受性上皮性ナトリウムイオンチャネル、Na^+-K^+-ATPaseの遺伝子発現、タンパク質局在について検索した。歯牙組織には発生時期、細胞成分ごとに、これらの遺伝子発現およびタンパク発現が見られることを明らかにした。Na^+-K^+-ATPaseに関しては、エナメル質分泌形成における、細胞群の形態変化とNa^+-K^+-ATPase発現の変化について、免疫組織学的、微細形態学的に検討し、エナメル質形成過程の体液輸送、イオン輸送におけるNa^+-K^+-ATPaseの存在意義を明らかにした。アクアポリンに関しては、歯牙発生では、上皮系、間葉系細胞による基質分泌、その後の石灰化という特異な現象を伴う。それに関与する細胞は、分化の途中でさまざまな形態変化を経ることより、細胞の形態変化、あるいは基質タンパク合成その後の石灰化の過程で水分子が大きく関与すると考えられる。本研究では、具体的にどの細胞成分に、いつ、どのようなパターンでAQP1が発現しているか詳細に解析することによって、歯牙発生過程におけるAQP1の役割をあきらかにした。
|