2009 Fiscal Year Annual Research Report
統一モデリング言語による顎顔面非対称症例の表記方法の開発とその臨床応用
Project/Area Number |
19791570
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
越知 佳奈子 Niigata University, 医歯学総合病院, 医員 (60397122)
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Keywords | 歯学 / 臨床 / 歯科矯正学 / 顎顔面非対称 / 統一モデリング言語 |
Research Abstract |
本研究は、顎顔面形態の三次元的特徴をパラメータ化して客観的に評価すること、および、パラメータ化された顎顔面の形態的特徴を統一モデリング言語(Unified Modeling Language,以下UML)を用いて客観的に表記する方法を提言することを目的としてきたが、本年度は下記を実施し、研究成果1および2についてヘルシンキで行われたヨーロッパ矯正学会で発表を行った。 1. 上下顎のパラメータ化とその臨床的評価 上下顎の歯列歯槽部のパラメータ化のシステムを再検討し、実際の症例を用いてパラメータの臨床的有用性を検討した。その結果、従来までの解剖学的指標に基づいた三次元座標系の設定方法を、歯列歯槽部の変形が著しい顎変形症症例に適用した場合、算出されたパラメータが症例の特徴を正しく表現できないことが明らかとなった。 2. 画像認知工学を用いた座標軸の変換アルゴリズムの開発 歯槽部の変形に影響されない座標系を設定するため、解剖学的指標点による座標系を仮設定した後、歯槽骨の水平断の輪郭線を画像認知工学で用いられるハフ変換を応用して4次曲線として抽出し、座標系の補正値に使用した。Yow角は、抽出された曲線の対称軸と仮座標系の軸の角度差を用いて、roll角は歯槽部を構成するポリゴンの法線ベクトルの総和の左右差を用いて補正した。この手法により、歯槽部の変形が著しい症例に対しても臨床的有用性が高いパラメータを得ることが可能となった。 3. 顎顔面非対称症例のUML表記の提言 UML表記はソフトウェア開発でのオブジェクト指向開発では不可欠な標準記法であるが、文法や意味が詳細に定義されており、表記に慣れない臨床家にとっては扱いにくい。そこで、自由に表記可能なマインドマップを用いて、顎顔面非対称症例を記述してUMLに変換する方法を試みた。その結果、症例の形態的特徴はUMLによって概ね表現できたが、形態の記述のみでは診断と治療結果の因果関係を明確にすることができないことが明らかとなった。
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