2008 Fiscal Year Annual Research Report
水分子を指標にした歯の移動に伴う神経ーグリア相互作用
Project/Area Number |
19791571
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原田 史子 Niigata University, 医歯学系, 特任助教 (00397150)
|
Keywords | アクアポリン / 下歯槽神経切断 / 三叉神経節 / 歯の移動 |
Research Abstract |
アクアポリン(AQP)は水チャネルの一つであり、神経細胞およびグリア細胞に細胞特異的に発現することが報告されている。本研究の目的は、歯の移動の際の歯根膜神経終末およびその細胞体の存在する三叉神経節におけるアクアポリンの局在の変化を明らかにすることである。本年度は、(1)歯の移動刺激に対する三叉神経節と歯根膜におけるアクアポリンmRNAおよびタンパク発現量の変動、(2)歯の移動実験の比較実験として、より強い刺激である下歯槽神経切断実験モデルを用い、三叉神経節におけるアクアポリンmRNAの変動を検討した。 (1) 歯の移動実験を行い、経日的に試料を採取し、三叉神経節および歯根膜ルフィニ神経終末におけるAQP-1の免疫反応局在の変化を免疫細胞化学を用いて検討した。歯の移動は上顎第一、第二臼歯間にラバー片を挟む、いわゆるWaldo法を用いた。歯の移動時の歯根膜ルフィニ神経終末におけるAQP-1の免疫反応の局在に変化は見られなかった。また、歯の移動時における、AQP-1mRNAの変動をReal time PCR法にて検討したが、経日的なmRNAの有意な変動は認められなかった。 (2) 下歯槽神経切断実験では、Atsumiらの方法に従ったラット下歯槽神経切断モデルを用いた。下歯槽神経損傷後1, 3, 5, 7, 14日の三叉神経節を採取し、Total RNAからcDNAを作成し、AQP-1 mRNAの変動をSYBER Green Iを用いたreal time PCR法を用いて検討した。なお、GAPDHをコントロールとした。下歯槽神経切断刺激では、AQP-1 mRNAの有意な変動は観察されなかった。 歯の移動、神経損傷刺激に対して、AQP-1のタンパクレベルおよびmRNAレベルの発現に著名な変動は観察されなかったことから、神経の再生過程にAQP-1が関与する可能性は非常に低いことが考えられた。
|