2007 Fiscal Year Annual Research Report
口腔バイオフィルム中におけるS. mutans 表層タンパクの機能解析
Project/Area Number |
19791573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一世 Osaka University, 歯学部・附属病院, 医員 (00437386)
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Keywords | う蝕 / Streptococcus mutans / グルカン結合タンパク / 分子生物学 |
Research Abstract |
Streptococcus mutansはう蝕の主要な病原因子の一つであり、菌体表層にグルコジルトランスフェラーゼ(GTF;GTFB、GTFC、GTFD)、グルカン結合タンパク(Gbp;GbpA、GbpB、GbpC、GbpD)、タンパク抗原c(Pac)などのタンパクが存在する。GbpはGTFによりスクロースから合成されるグルカンとの結合能を有し、S.mutansの病原因子に関与すると考えられている。これまでの我々の研究により、GbpCはGTFDによって合成される可溶性のグルカンと結合することにより、スクロース依存性付着に重要な役割を果たしているということが明らかとなっている。そこで、今回我々は、GbpとGTF間の相互作用におけるGbpの齲蝕原生の特性について研究を行った。GbpA、GbpB、GbpC欠失変異株(AD1、BD1、CD1)をS.mutansMT8148株(血清型c)のgbpA、gbpB、gbpc遺伝子に、それぞれ抗生物質耐性遺伝子を挿入することにより作製した。作製した菌株を持ちいて、バイオフィルム形成量を測定したところ、CD1株において最も低いものであった。さらにGbp欠失変異株におけるGTFの発現量を調べるためにreversetranscriptase-PCR(RT-PCR)を行った。MT8148株及び全てのGbp欠失変異株のRNAを抽出し、このRNAを用いて逆転写酵素によりcDNAを合成した。MT8148株と比較して、AD1株ではgtfB遺伝子の発現量が上昇し、CD1株ではgtfDの遺伝子の発現量が減少していた。これらの結果により、GbpはS.mutansのう蝕原性に強く関係しており、gtf遺伝子の発現はGbpタンパクの発現様式により変化するということが示唆された。
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