2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔バイオフィルム中におけるS.mutans表層タンパクの機能解析
Project/Area Number |
19791573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一世 Osaka University, 歯学部・附属病院, 医員 (00437386)
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Keywords | ミュータンスレンサ球菌 / グルカン結合タンパク / 分子生物学 / う蝕 |
Research Abstract |
Streptococcus mutansはう蝕の主要な病原因子の一つであり、菌体表層にグルコシルトランスフェラーゼ(GTF ; GTFB、GTFC、GTFD)、グルカン結合タンパク(Gbp ; GbpA、GbpB、GbpC、GbpD)、タンパク抗原c(PAc)などのタンパクが存在する。GbpはGTFによりスクロースから合成されるグルカンとの結合能を有し、S. mutansの病原因子に関与すると考えられている。今回我々は、GbpとGTF間の相互作用におけるGbpのう蝕原性に関する生物学的特性について検討を行った。まず、はじめにGbpA、GbpB、GbpC欠失変異株(AD1、BD1、CD1)をS. mutans MT8148株(血清型c)のgbpA、gbpB、gbpC遺伝子に、それぞれ抗生物質耐性遺伝子を挿入することにより作製した。作製した菌株を用いて、それぞれのGbpの各種の生物学的特性を比較した。グルカン結合能はそれぞれのGbp欠失変異株で低下していた。このことから、本来の機能が欠失していることを示した。また、スクロース依存性平滑面付着実験から、GbpAおよびGbpCはう蝕原性に大きく関与していることが明らかとなった。また、菌の増殖能およびレンサの長さにおいて、GbpBは他のGbpと比較して増殖速度は遅延し、レンサが長くなっていることが明らかとなった。これらのことにより、GbpBは菌の分裂に関与している可能性が高くなった。さらに菌の表層の電顕写真より、GbpB欠失変異株BD1は明らかに表層構造が変化していることが示された。以上のことにより、GbpBは菌体表層の構成分であり、菌の分裂・維持に関与していることが明らかとなった。
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