2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨組織でのアクチンダイナミクスの観察~骨芽細胞から骨細胞への形態変化の解明~
Project/Area Number |
19791579
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅原 康代 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70379775)
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Keywords | 骨細胞 / 骨芽細胞 / アクチン線維 / 骨 / 弾性率 |
Research Abstract |
骨細胞は骨芽細胞から分化して出来た細胞であるが、その際には直方体から、星状の形へとダイナミックな形態変化を引き起こす。この分化に伴う形態変化の詳細はあまり知られていない。なぜならば骨細胞は周囲を堅い骨基質に被覆されているため、その3次元構造を観察することさえ困難であったからである。申請者らは過去に、骨中の骨細胞、骨芽細胞を蛍光染色することにより、三次元的に観察し形態計測する手法を確立した。そこで本研究では、骨芽細胞から骨細胞への形態変化に伴う状態をさらに突き止めた。まず、実際の3次元的な骨中の細胞を骨芽細胞、類骨骨細胞、成熟骨細胞と分化の段階で3段階に分類した。さらにその生きた細胞を骨中から単離し、単離した細胞も骨芽細胞、類骨骨細胞、成熟骨細胞と分類することに成功した。次に、各細胞の弾性率を計測した結果、細胞辺縁部において骨芽細胞、類骨骨細胞、成熟骨細胞と分化にしたがって弾性率を低下させることが分かった。この弾性率はアクチン線維と密接に関与していることから、骨系の細胞分化にしたがって、アクチンはダイナミックな変化を引き起こすことが分かった。さらに、細胞接着阻害剤を投与することにより、骨芽細胞、類骨骨細胞はその影響を受け、弾性率を低下させたが、成熟骨細胞は変化しなかった。これは細胞接着に関与するタンパクを蛍光色素で染色させ、細胞接着領域を計測した結果と類似していた。これらの結果から骨芽細胞から骨細胞へ形態変化を引き起こしながら分化する際には、アクチン線維のダイナミックな変化と共に細胞接着と密接に関与した弾性率が変化することが分かった。また、さらにその変化も分化段階順に徐々に起こることも分かった。これらの結果は骨系細胞の分化に伴う変化に対して新たな知見を生み出し、国際誌に発表した。
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