2010 Fiscal Year Annual Research Report
包括的三次元鼻腔咽頭気道モデルの構築および顎変形症患者への応用
Project/Area Number |
19791586
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
星野 慶弘 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (20444797)
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Keywords | 鼻腔通気計測 / 呼吸抵抗計測 / 顎顔面形態 / 顎変形症 |
Research Abstract |
外科的矯正治療に伴う呼吸機能の変化が注目されてきたが、これらを治療目標設定の診断基準とするための定量的解析法確立には至っていない。今回、骨格性下顎前突症の鼻腔通気抵抗を測定し、鼻腔通気抵抗が顔面に及ぼす影響を検討することを目的として、骨格性下顎前突症患者の顎顔面骨格形態と鼻腔通気抵抗について正常咬合者と比較検討した。 九州大学大学院歯学研究院倫理委員会の承認後、研究の主旨を説明し同意の得られた上顎骨の後方位は認められない下顎前突症患者で、下顎骨の非対称が認められた患者を除外した8名を骨格性下顎前突症群とした。また、正常咬合を有する成人女性30名を対照群とした。歯列模型および側面頭部X線規格写真(以下、側面セファロ)を用いて、模型分析・側面セファロ分析および鼻腔通気抵抗測定を行った。統計処理には、Mann-WhitneyのU検定とスペアマンの順位相関係数を用いた。鼻腔通気抵抗値は正常咬合者に比べて、有意水準5%で小さな値を示した。Is-Mo、Ii-Mo、A'-Ptm'が、呼気および吸気抵抗と有意な正の相関を示した。模型分析の上下の歯列弓長径、下顎歯槽基底長径および口蓋の高さが、呼気および吸気抵抗と有意な正の相関を示した。両群ともに正常参考値範囲内であったが、骨格性下顎前突症患者おける鼻腔通気抵抗は吸気抵抗および呼気抵抗ともに正常咬合者よりも抵抗値が小さいことが示唆された。また、上顎骨の前後的な大きさ、上下の歯列弓長径、口蓋の高さが鼻腔通気抵抗と関連していることも併せて示唆された。術式においては、下顎枝水平骨切りと下顎枝垂直骨切りを比較したが、鼻腔抵抗の有意差は見られなかった。少数であり、統計処理力桁える母集団は得られなかったが、上下顎骨切り術を行った患者は鼻腔抵抗が有意に減少する傾向が確認された。
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