2007 Fiscal Year Annual Research Report
矯正力による歯の移動時における歯槽骨リモデリングの定量化と最適矯正力の解明
Project/Area Number |
19791590
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 基大 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90420629)
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Keywords | 生体力学 / 生体計測法 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本研究では、安全かつ効率的な歯科矯正治療を達成するための最適矯正力の解明に向け、歯の移動を骨改造現象として定量化した生体力学的シミュレーションシステムを構築することを目的としている。平成19年度は、矯正治療モデルの構築および、試験的な解析を行った。具体的内容は以下の通りである。 1)矯正治療の解析を行うための矯正治療モデル作成のため、Materialize社のMIMICSを用いて、CT画像データから上顎半分の3次元データの構築方法を確立した。 2)1)で作成した3次元データから有限要素法を行うための解析モデルをMSC.Patranで構築し、歯周組織のヤング率、ポアソン比、拘束条件を入力し、試験的な解析をMSC.Marcにて行った。このことにより、様々な矯正力における歯の移動・応力分布を算出することが可能となった。 来年度は、適切な歯周組織の材料定数を求めるために、生体変位計測法を用いて、荷重時の歯の変位を時間的変位も含めてヒトを対象にin vivoで測定し、今年度の研究成果とあわせて、ヒトの歯周組織の正確な物性値を求めることにより、最適な矯正治療における歯の移動シミュレーションシステムの構築を行う。 本システムの構築が成功すれば、効率的歯牙移動メカニクスの実践とともに、最適矯正力を適用することで、矯正治療を大幅に短縮することが可能となる。歯根吸収を引き起こすことなく、可及的に短期間で歯の移動を達成することが望まれており、システム構築後、さらに臨床データを収集することにより、歯根吸収を引き起こす応力レベルを解明することも可能である。
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